いつも紳士なその方は、なかなかお風呂に入りません。
ある日の訪問介護
入浴ケアのプランで派遣されている私は
バイタルを測定して準備をして
さあお風呂に入りましょう!とお声かけするのですが…
1回目スルー。
認知症ですが、聴力は問題ない。
2回目
「風呂は嫌いじゃ!」
3回目
「さっきから風呂風呂風呂!
そんなに風呂が好きならお前が入れ!!」
時間は過ぎていくしお湯がもったいない
当たり前のことなのですが
壁や床もお湯をかけまくって温め
シャワーを高い位置から出しっぱなしにして
モクモクといい感じ
バスクリンのいい匂い。
ほんと、私が入りたいわー
大汗かいてるし
溜め込んだ湯気をその方の元まで届けて(気持ちだけ)
今夜は特別に○○(その方の苗字)温泉に入りましょう!!
とお声かけると、なんとあっさり立ち上がりました。
本人の意志で、決心して入ると、それはそれは上機嫌で
「気持ちいい。」
「おかげでさっぱりしたよ。ありがとう。」
と紅潮した笑顔で、いつもの紳士に戻ります。
その瞬間があるから、やめられない
その方は、温泉地に住んでいたことがあると後で聞いて
一瞬、温泉に反応したのかなと思いました。
認知症の方は、ふっと昔の自分に戻ることがあるようです。
しかし…毎回そう簡単にはうまくいきません。
だって「風呂は嫌いなんじゃ!」
お風呂は確かに気持ちいいですが
裸になって家族でもない他人に手伝ってもらうって
プライドもありますし、体力気力が要りますよね。
高齢になっても、自力でスーパー銭湯に通いたいものです。
足腰きたえなきゃ。
ありがとうございました