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 『マツコの知らないVFXの世界。同時代人の私の世界。』最近の「鬼リピート」は、「マツコの知らない世界」VFXの世界。山崎貴監督がゲストで、しゃべくりまくる回。 鬼リピート気に入った作品があると、「終わったらすぐに…リンクameblo.jp


 

これを書いたあとに、なんだか急に

「いつ猫」を読まねば。

という気持ちになったのでした。

 

 

もちろん、その本がどこにあるかわかっていますが、

ここ30年、(30年!)一度も読んでいませんでした。

新井素子「いつか猫になる日まで」。

コバルトで出した2冊目、6番目のお話だそうです。

 




山崎監督がVFXの呪いにかかった中二のころに、

私は新井素子にかかっていました。

 

当時、賞を取った「あたしの中の・・・」や、

「星へ行く船」「通りすがりのレイディ」そして、「いつ猫」を、

毎日どれか必ず一冊読む、という鬼リピ中の鬼リピを起こしていました。

1年くらい、ずっと。

 

新井素子鬼リピの前は、「メアリーポピンズ鬼リピ」。

小学生のころからやってた私。

 

まあとにかく、「いつ猫」なんて、死ぬ程読んだんですけど、

30年も経つと、あらすじを忘れていました。

「もくずちゃんが、最後、旅立つ話」

とだけ。

 

読んだらぶっとびましたね。

宇宙人が不時着して、船をぶんどって、戦争を仕掛ける話だった。

宇宙船の話だったよ。なんと。

 

世間を騒がせた宇宙船の映画はなんも見てないっていうのに。

 

あー、私にブラッドベリを教えてくれたのは、もくずだったわ。

あと、別れた元カレの名前が「佳祐」で吹き出したわ。

素子さん、ホントに桑田佳祐大好きだもんなあ。

 

壊れた宇宙船を修理して、敵と味方を混乱させて、

戦争に決着をつける、という話で。

朝公園に集合して、夜はみんな家に帰るんですよ。

しかも、みんな学生で、夏休みだったりするんですよ。

日帰りで宇宙戦争ですよ。

 

素子さん自身も大学生だった19歳のころの作品なので、

いろいろお話の作りが可愛いのですが、

あとがきには、手書き原稿を読んでくれたリアル友達のことが

たくさん出てきます。

あとから登場人物に名前を借りた人とか、結構いるし、

当時は彼氏だった旦那さんのことも出てくるので、

等身大19歳だなあ。とほほえましい。

  


えっと、あとがきです。



 

主人公もくずちゃんと親友のあさみが、20歳の誕生日を祝っていると、

偶然、昔の同級生と行き会って、一緒に宇宙船を目撃してしまう。

というところから話は始まります。

 

その同級生ふくめ、翌日に再会した6人の男女は

お互いが夢でみた人物だ、とそれぞれ思い当たります。

「一人は統率、一人は一人は情報、一人は技術、

一人は生命、一人は攻撃、今一人は切り札」

夢の中のせりふに自分たちが当てはまっていることに

戦慄を覚えつつ、独立戦争を企てます。





 

少女マンガだと、主人公が好きな相手は、だいたい、

「憎からず思ってますよ」って感じになってると思うのですが、

これが塩で!

ホントに塩で!

死ぬかもって時に、「ちょっと気障かな」って前置きして、

ホントに気障なセリフをちょっとだけ吐くんですけど、

「気障だって言うなら、もうちょい語ってくれ!」と悶えます 笑

 





最初から主人公のことが大好きなイケメンというのも出てくるのですが、

もくずったら一ミリも揺れない。

ちょっとは揺れてもいいんじゃないか、と思うけど、揺れない。

 

 

この後たくさん出てくる新井素子物語の、原型のような感じがします。

この話も、序盤はペンキ買いに行って、帰りに日向ぼっこしたり、

ハンバーガー買ってきてため息つかれたり、完全に雑用係。

私の存在価値ってなに?って悩んだりして。

最後に覚醒して、

誰が従容として運命に従ってなるものですか!と立ち上がるところは、

新井素子ヒロイズムの真骨頂ともいうべき。

この「日帰り宇宙戦争」の「いつ猫」も、最後は片道切符で出ていくのですが、

・・・そういえば、「星へ行く船」のあゆみも、最後は片道切符だしな。

 

作中でもくずが「そして王子様とお姫様は幸せにくらしましたとさ」は

無責任だ!と声を大にしていうんです。

「最後に石を降らせて、幸せのうちに強制的に終わりにするのがいい!」って

ずいぶん過激です。

 

敵の宇宙船に乗って、本星に帰る宇宙人の後をつけて、

そもそもの原因になったことを調べる、と息巻いていますが、

ちゃんと付いていけるのかね。

燃料は一年以上もつというが、食べ物飲み物、そんなにもつのかね。

行った先で、食べるものにありつけるのかね。

誠ともくずがうまくいくと、あさみと木村さんは余り者同士でくっつくのかね。

そうなるとすごい美形が生まれそう、とか。

余計な想像は膨らみます。

へへ。

 

私の厨二は、ここにありました。