シリーズ化したお話を、

聞いてくださってありがとうございました。

この回で、その一旦終了です。

前回こちら

  9、一人でぽんと置かれても




リーダー会議ではいろいろ勉強させてもらいましたが、

中にちょっと変わった研修がありました。

「効果的な手作りポスターの作り方」

 

一時、全国で「手作りポスター」の繚乱期があったんです。

当店の担当はもちろん私。

研修を受けた本人ですし、

特にそういう作業が好きな人が他にいなかった・・・。

営業時間中に(なんなら場中です)、

無人の会議室で色紙をショキショキしてるなんて、

これで給料もらって悪いというか。


いえ、目を引くのは大事ですので。

 


いろんな角度からお客様にアプローチしよう!という中で、

本業はあくまでも、店頭です。

新規でご来店くださったお客様には、番号札を引いていただきます。

それを引き当てた人が担当になりました。

 

お互いに選んだりしないのですが、なぜか傾向があり。

 

Tちゃんはいつもフットワークが軽くて、ニコッと笑った顔が可愛い。

一番お客様を持っていたのはTちゃんでした。なぜか、若い人が多い。

 

Mちゃんは、どういうわけか癖のあるお客様が多かったです。

でも彼女は頭がやっぱり良くて、数字で語れる子なので、

気むずかしげなお客様とも、仲良くされてたと思います。年配の方がなぜか多かったです。

 

「一応」リーダーの私は、3人の中で一番お客様が少なかったです。

(ま、リーダー業で席を外していることが二人より多いですからね)

でも、お客様お一人お一人が結構大きくて、

三人の中で預かり資産が一番多かったですし、

コミッション(手数料ですね。営業成績です)もそこそこいただいていました。

 

といって、なにか特別なことはしません。

自分のお客様が来店されたらすぐ行くのは当然として、

手に負えない話になったら、課長にさっさとつなぐ。

話が終わったら私に戻してもらうのですが、

課長に断れなくても私には断れるので、お客様も使いやすいようでした。

いいと思えば乗ってくれるし、それで十分でした。

 

やっとやっと、自分の仕事をみつけました。

 

私たちの雰囲気が課の雰囲気も決めます。

課長席とはいつも仲良しで、よく話をしていました。

Mは陰で「お兄ちゃん」と呼んでました。


私はリーダーなので、支店長と話をすることもあるのですが、

「最近、どう?」みたいな、フワッとした問いかけに、

(あるあるですよね・・・)

「店頭でこうだった」「こういうお客様がいた」とか、

「みんなでこうやってがんばってる」とか、

正直に、盛ったりせずに

まあフワッとお答えするんですけど。

 


数字で語るべきだったのか・・・?

いや、そんなの私、できないしな。

そんな話は、課長を絞り上げて、とっくに出してますよね。

 


眉間にしわが刻まれた、超おっかない支店長でしたが、

「そうか・・・」と怒らずに聞いてくれていたので、

それはそれで、良かった・・・・みたいです。

私の反応でいろいろ判断したのかも。

いろんな使い道があるものです。

 

 


同じ課の後輩MとTは、もはや後輩でもなくなっていって、敬語もとれて、

仲良くさせてもらっていました。

競い合うって感じじゃなかったのも、私には良かったです。

 

総務の3人も含めて、女子6人で仲が良かったです。

ランチは2交代なので、

TとMは総務課のリーダー格の先輩と一緒。

私は総務課の若い子たちと一緒。

その距離感も、ちょうどよかったです。

 

 

前の支店で総務課になったとき、

「これで一生勤めていける」と思ったわけですけど、結局営業です。

どっちが向いていたのか。

でも、どっちでもできる、という意味で、私、営業だったんですね。

総務のリーダーの先輩は、とっても優秀で素敵ないい人でしたが、

「営業」って感じは一ミリもしなかったです。

 



自信喪失しそうになると支えてくれたのは、

「一人でもやっていけそうだったから」というあの一言でした。

 



そう言われると、私以外も、一人で全然いけそう。

子どものころのあだ名の話になって、

Tが「私、アブ」だったと。

それはアブノーマルのアブだ、と言うと、Mが

「え。私、アブノだった」。

マジか。

 


「アブ」と「アブノ」かい!

そういう私にも「へんこちゃん」と呼びやがる幼馴染がいたんですよ。

3人そろって、変とは・・・。変だからなのか。そうなのか。

 


実際に、一人になっても、6人とも、大丈夫な人々でした。

最後は見事なくらい、パッと散っていったんです・・・。



 

上から見るとわかることもあるのかもしれないなー・・。

「一人でぽんと置かれても」

大丈夫だった。きっとこれからだって大丈夫。

そう、思わせてもらえましたから。

 

雲上人みたいな「みんな、ついてきて!」ってリーダーには

なれなかったけど、

私は私です。

いろんなリーダーがいていいのです。

 

 

 

大人になって、後輩にアドバイスを求められたときに、

必ず思わず言ってしまうことがあります。

「キャラに無いことは、しなくていい」

 

キャラに無いことをしなくたって、どうにかできます。

「べき」が思い込みなんじゃないかって、

思ってみるのは無駄じゃない。

そう言い切れます。



 

こうして、自己肯定感を育てることができました。

ホントに落ちこぼれだったのになあ!

でも、何の挫折も無くて自己を肯定していたら、

そこに奢りはないのか、考えないといけないかと。

自分のやり方で、自分のキャラで、ひとつひとつ、

構築するしかないんじゃないか、と思っています。

 



もちろん、まだまだですけどね!

日々、反省することもあります。

それでも、立ち直る土台を作ったと思っているので、

苦しさの種類が違います。

仕事の話をするのが好きな自分になったことに、

一番びっくりしますな。

 


やっぱり、古い友人が言うように

「ターニングポイント」だったのかもしれませんね。