なにか勉強したいな、という気持ちがあったんですね。

 

どの「何か」にしようかな、なんて、

考えるの楽しい。

 

文学も、なんでもよかったのですが、

どういうわけか、一葉さんに呼ばれた感じがする。

 

     ☆

 

 

「選ばなかったこと」って、あとあとまで気持ちに残るってこと、

ないでしょうか。

 

「こっちの道に行ってたら、私、どうだったのかな」とかって。

 

成就しなかった片思いについて、そういうことは思いませんが、

告白されたのに断ってしまった人のことって、

私は結構、忘れられない。

 

告白されたのに断った人と、

結婚した旦那さんと、

何が違ったのかな、とか考えてしまう。

 

(いや、私、旦那さん好きですよ。

結婚してよかったと思ってるけど。)

 

すごいモテ女だったら、

いちいち断った人のこと考えてられないかもね。

 

私には「たけくらべ」もそうでした。

 

卒論を何にするか、という時になって、

候補は二つあったんです。一つは「たけくらべ」でした。

迷いに迷って、結局、違う題材、違う先生の方に行きました。

 

「たけくらべ」の担当の先生には「残念」と言っていただいて、

これも私の心の勲章なんですけどネ。

 

なんで「たけくらべ」にしなかったのかは、

ちょっとわかる気がする。

文学ではあるけど、遊郭についていろいろ考察するのが、

生真面目すぎる生娘には、気恥ずかしかったから、です。

 

当時、「たけくらべ論争」が勃発していて、

美登利が急に態度を変えたのは、

「初潮を迎えたからだ」という従来の定説を

そんなもんで変わるか?という疑問が投げかけられたの。

水揚げ(遊女としてお客を取ること)が

秘密裡にあったんじゃ?

という説が出てきたのです。

 

あのころ「たけくらべ」をやるなら、

そのことには触れないわけにはいきません。

 

おばさんになったので、文学として、おちついて(笑)

扱うことができる気がします。

 

将来にわたっても、

たけくらべ論争に決着はつかないと思いますが、

あれこれ考察するのが、いいんだと思います。

どっちにも読めるのが面白いので。

 

たけくらべの世界も面白いですが、

一葉さん本人と

師である半井桃水は、

結局どうだったのか、というのも気になります。





桃水が作った雑誌「武蔵野」デザインの

クリアファイル。

「武さし野」の書は一葉です。




 

桃水とデキてるんじゃないか、と歌塾「萩の舎」で噂になって、

一葉は、冗談じゃない!と絶交するんですけど、

絶交したにも関わらず、

恋人だったんじゃないの?

一葉さんは、好きだったんじゃないの?と

疑われてる。なんとなく。

 

ちなみに、一葉記念館は「シロ」(ただの子弟関係)って

態度だな、と私は思いましたけど。

 

その辺も、いろいろ読んで、作品への投影で読むと

面白いのかな、と思います。

今更、どっちだっていいんですけど、

私のふわっとした感覚では、

「一葉さんの片思い」に一票です。

片思いだから「冗談じゃない、先生に迷惑かけちゃう!」って

慌てたんじゃないかなーーーと。

 

どうなんですかねえ。

 

それにしても「半井(なからい)桃水(とうすい)」

なんて、ロマンチックなペンネームですよね。

半井は本名ですけど、桃の水ですよ?甘い・・・。

 

比べるのもなんだけど、「一葉」ですからね。

貧乏のシャレ。

「春日野シカ子」とか、ペンネームはいろいろと、

ふざけきっているんです。かわいくない方向に。

照れてあっちの方向に爆走しちゃう乙女って感じがするんですけど

(勝手な妄想ですよ!)

 

たけくらべや一葉のことを書くと、

ほんまもんの研究者がゴロゴロいる世界ですが、

私は研究してないんで、イメージとして、

ふわーっとした感覚で、自由に描かせていただこうかと

思っています。

 

内容は浅いです!言うまでもなく!

 

 

一個だけ。

卒論ですけど、各先生ごとに学生が一人選ばれて、

発表し、論文にまとめたものが、出版されていました。

私も、その年の中世文学の代表で載りました。

「たけくらべ」も、クラスメイトだった人が書いた論文が

載りました。

 

その人はね・・・。

すっごく素敵な人だったんですよ!

個人的に話をしたことはなかったんだけど、

大人っぽくて、美人で・・・。

こういうとどうかと思いますが、

私が「たけくらべ」を選んでいたら、彼女か私か

一騎打ちだったと思います。

 

ちいさい学校ですから、ね。

 

でも、現実は仲良く載ったわけです。

掲載誌は国立国会図書館にはあります。

ウチにもある 笑

掲載されたので5冊もある)

あと、アーカイブとして読めると思います。

ネットって素晴らしいですな。

 

それで、このたびあれこれ検索していたら、その彼女の論文を

引用している研究者がいたんですよ!

びっくりしました。すげーな!

 

私の論文も同様にアーカイブとして、令和の世に生き延びました。

 

引用された話は聞きませんが・・・。

(引用したからといって、連絡なんか来ませんよ)

(エゴサで出るか出ないかってだけです)

 

私も「たけくらべ」を選んだとして、

もし私が載ってしまったとしたら、

彼女の論文は世にでることは無かったわけです。

 

どっちでもありえた選択肢が、

いずれはどちらかになるわけで、

 

そう思うとね。

いろんな選択の末が現在ですけど、

「もし」を想像するのも、おもしろいなあ。なーんて、

思ったりするのです。