前回記事で、吉住渉作品を取り上げると予告しました。
『チェリッシュ』とか『ちとせetc』、『P✖️P』あたりを読んでいて、やっぱ可愛いなぁーと、『ハンサムな彼女』を読み。
ハンサムな彼女はですね。
マレーネ・ディートリッヒやローレン・バコールを引き合いに出して(ちょっと大胆やね)、カッコイイ女の子のことは(女の子だけど)ハンサムって言うんだよ!と。少年監督、熊谷一哉はそんな知恵を付けて、女優・萩原未央を育てようとするんですけどね。
可愛い女の子を描きたかった。から、芸能ものにした、と柱に書いてあり、それはその通りなんだと思う。掲載誌がりぼんで、小学生に受けたと思う。
ホントに可愛い!未央ちゃんてきっと、みんな好き。
だけど、ハンサムじゃないよーーー。
「演技上手くなった」と一哉は喜ぶけど、え、そお、どこがぁ?だし。だいたい、この未央ちゃんは、まるっきりハングリーさが無い。フラフラナヨナヨ。
上手くなりたいとか、認められたい、とかすらなくて、「一緒にいたい」。
映画に出たい、一緒に映画を作りたい、そんなことも言わない。
これねぇ。
小学生の心はガッチリ掴むと思うけど、ハンサムな女の子のセリフじゃないですね。
ハリウッドの映画青年に「素材としても女の子としても」「一哉を思うなら身を引け」とまで言われて、そうしようと思っても、結局一哉の方が追いかけてしまって、身を引き損ね。
ハンサムな大女優が本当に身を引くならば、どんな手を使ってでも、一哉に追いかけさせないさ。
ただ泣くのを我慢してみせただけなんて、手ぬるいわ。
とまあ、読む度思う。
推しのつもりが、なんだかアンチな。
ストーリーと絵とエピソード、全部ハンサムじゃない!
けど、なんか好き。可愛い。
ホントこれって凄い作品なのです、ある意味。
ハンサム目指すの、もうやめなよ。辻褄が合わないからさ。ちゃんと面白いのに。
吉住渉さんはご本人憧れの「女子大生漫画家」をやったあと、就職されてます。
でも忙しくなって、お勤め辞めて専業漫画家になって初めて書いたのが「ハンサムな彼女」と、文庫版の方に記述があります。
全体に絵にはすごく書き込んであって、頑張ってて勢いがある。いろいろ拙いところもあるけど、それもまた魅力。
でもな。これが代表作じゃ困るんだけど、たまに読みたくなる本ではあります。
代表作は「マーマレードボーイ』でしょうかね。
だけど、、、。
やっぱり『マーマレードボーイ』、あんまり好きじゃないわ、私。これ読んでると、推し記事ますます書けないわぁ。
少女マンガにありがちだけど、私の気に触る展開てのがいくつかあって、そのうちの一つに、
『普通、親が止めるだろうが!』ってことを、なんだかんだでやっちまう、というのがある。
高校生なのにオールで遊んで男の子の家に外泊しても「うちは放任だから」。そんな親、おるか!
とにかく、主人公の親は不在。好き勝手に生活してます。ヒドイ。
ママレードボーイなんて、親の方がめちゃくちゃで、もうマジ無理だ。
ママレードボーイをご存知ない方の為に。
主人公光希の両親と、美少年遊の両親は、ハワイに旅行に行って、運命的な出会いをしてしまい、相手を交換して再婚することになりました。
再婚しても親子関係を継続する為に、夫婦二組とその子ども二人の六人が、一つの家に住むことになりました。
だから、光希と遊は、兄妹みたいなものになり、初対面だけど同居することになりました。もちろん、学校では同じクラスです〜。
で、まあ。後々で、ハワイで運命的出会いというのは嘘で、大学時代は元々そのカップルだった。些細な喧嘩で別れて、くっついたそれぞれのカップルで子ども(小石川家は光希、松浦家は遊)を産んだ。
ずっと疎遠になってたんだけど、ハワイで会っちゃった、と。そしたら行き違いが解消されて、相手を交換したくなった。4人とも!!
で、遊には別の父親候補がいたりとか、
光希と遊は、本当の兄妹かも!?別れないとダメかも!?とか、
なんかスンゴイ展開になるんだけどね。
ずーっと光希がかわいそうなの。
虐待だよ、まったくもう。
いやぁ。
少女マンガに真剣にアレコレ考えるのアホらしいけど、
高校生の子どもがいる夫婦がですね。情熱はなくても結構仲も良かった夫婦がですね。
それぞれ元彼元カノとヨリが戻った。
で、同じ家にいて、やることやっちゃうの!?
ちょっと大きい家を借りるとはいえ、一軒の中でしょ?
ホント気持ち悪いわ。
やっちゃうんだけどね。
それぞれにまた、子どもが産まれて、
それが続編。
無理だーーー!ホントに無理だあー!
というわけで、ママレードボーイは無理。
あー。書けば書くほどにアンチな記事に。
細かい描写とかは上手いんだよ。ホント。
実力は十分なのに、その展開、やめましょーよ。オトナはツライよ!!!キモイよ!!!お願いだよーーー!
ヤングユーって、昔の。すごく勢いのあったマンガ雑誌でね。小椋冬美の名作とか、いっぱいある。
中野純子さんとか、まあ、この人のもトンデモな設定だけど好きだったなぁ。
吉住渉も、そのヤングユーの最後にちょっとタッチします。主人公の育ての親がゲイという、そっちの方向にオトナですか!!な話とか。
私の好きな『P✖️P』は、学園内に現れる怪盗の話。PとPーープリンセスとプロフェッサーのコンビの怪盗なんだけど。
もちろんあだ名に、決まってます(カルメン77)
(画像借りてます。持ってるけど)
変なメカ使って、持ち主には「なぜこれが欲しいのかわからない」ようなものを、手数料3万円で盗んできてくれる謎の人物、P。
プリンセスの方のPは、姫乃るり、という名前からP。生徒会副会長やってる美人で有名な元体操選手。
プロフェッサーの方のPは、あだ名の教授から。高校生だけどIQ250の天才。(250って、、、)の割には、恋愛にはチキン。ちゃんとイケメンなのにね。
謎解きみたいな要素もあり、普通にストーリーもいいんだけど、この「姫」が、教授に、ちゃーんと真正面から当たってるのが、気持ちいいというか。
同時収録のナンタカの話も面白い。
ミントな僕ら、とか、ウルトラマニアックとか、いろんないろんな話、あるんです。
みんな、ちょっと捻ってる。
つまり。。よく思いつくね!!って話、ばっかりなんです。なのに、冷めた目で見てる作者もいる。
光希にやだ!って抵抗させるの、作者吉住渉の良心ですな。遊もホントは光希と同じようにも思うんだけど、実の父疑惑で人間不信になってたので、反応が浅かったの。
ちゃんとバランスの取れた人なんです、荒唐無稽なのに。ま、だから読めるんだけど。
非常に映画が好きみたいですね。
アニメばっかり見てるやつのアニメは、つまらない、と言ったのは誰だっけね。
オリジナルと二次創作の間なんて、つまんないに決まってるよなぁ。
映画でも音楽でも何でもいいから、他のジャンルに素地がないと、非常に浅いものになってしまう。
吉住渉作品で私が好きなのは、
キャラクターが可愛いこと、
どっひゃーも含めていろんな話をぶっこみつつも、どこかに救いは作ってあること、
それから、コマ運びや場面転換に無理がなくて、読みやすい。バランスがいいこと。
映画が好きでたくさん見てること、それと読書家だとおもいますよ。ローレン・バコールの『私一人』って、アンネの日記みたいな語り系日記文学なんだけど、二段組で、超細かい活字で、超〜分厚いの!!
映画を作りたいとは思わない、と文庫版のハンサムで答えています。マンガでやってるので、と。
そんな感覚なんだと思います。
P✖️Pは実写化してないけど、しても面白いと思います。私が『デカワンコ』でやったみたいな、ノベライズ的ネタバレにも、向いてます。
散々悪く言ったようにも思えますが、たまーに読み返してしまう。やっぱりなんだかんだ言って、好きなんだなー。