「あの人がいないと、私はダメなんです。」 

「あの人を助けられるのは、私だけなんです。」 

「あの人のためなら、何でもできます。」

 

 

こんな言葉を聞いた時、

あなたはどう感じますか?

 

 

深い愛情だと思いますか?

それとも、

何か引っかかるものを感じますか?

 

 

実はこの言葉の中には、

共依存と呼ばれる状態が

隠れていることが多いのです。

 

 

共依存とは、

特定の人間関係の中で、

お互いが相手に対して

過度に依存し合っている状態のことです。

 

 

一方が「助ける側」、

もう一方が「助けられる側」という

構造になっていることが多いです。

 

 

でも実はどちらも、

相手なしでは自分の存在価値を

感じられなくなっているという意味で、

同じように依存しているのです。

 

 

一見すると、

深い絆のある関係に見えます。

お互いを必要とし合っている、
理想的な関係のようにも見えます。

 

 

でもその実態は、

お互いの成長を妨げ合っている関係です。

 

 

共依存がどういうものか、

もう少し具体的に見てみましょう。

 

 

助ける側の人は、

 

相手の問題を、

自分の問題として引き受けてしまう。

 

相手が苦しんでいると、

自分が何とかしなければと感じる。

 

相手に必要とされることで、

自分の存在価値を感じる。

 

相手のために自分を犠牲にすることを、

愛情だと思っている。

 

相手が変わらないことに、

疲れ果てながらも離れられない。

 

 

助けられる側の人は、

 

問題が起きると、

誰かに解決してもらおうとする。

 

自分で責任を取ることを、

無意識に避けている。

 

誰かに依存することで、

安心感を得ている。

 

助けてくれる人がいなくなることを、

極度に恐れている。

 

 

こんな特徴を持っていることが多く。

どちらも、

相手なしでは自分を保てない状態です。

 

 

では、なぜ

共依存は生まれるのでしょうか。

 

 

その根っこには、多くの場合、

幼い頃の家庭環境があります。

 

 

親が感情的に不安定だった

家庭で育った子どもは、

親の機嫌を読みながら

生きることを学びます。

 

 

親が苦しんでいると、

自分が何とかしなければという感覚を、

幼い頃から持ち続けます。

 

 

親がアルコール依存や

精神的な問題を抱えていた場合、

子どもはその問題に対処することを

自分の役割として引き受けてしまいます。

 

 

あるいは、愛情を条件付きで

与えられて育った場合。

 

「言うことを聞けば愛される」

「役に立てば必要とされる」

という経験が積み重なると、

誰かの役に立つことでしか、

自分の価値を感じられなくなります。

 

 

共依存は、

その人が弱いから起きるのではなく、

その環境の中で生き延びるために

身につけた、適応の結果です。

 

 

共依存の関係が持つ最も大きな問題は、

お互いの成長を止めるということです。

 

 

助ける側は、

相手の問題を引き受け続けることで、

自分自身と向き合う時間を持てないです。

 

 

相手のことで頭がいっぱいで、

自分の本音や望みを見失っていきます。

 

 

助けられる側は、

問題を解決してもらい続けることで、

自分で解決する力を育てられなくなり、

ますます依存が深まっていきます。

 

 

どちらも、その関係の中にいる限り、

本当の意味で自分の人生を

生きられないのです。

 

 

共依存の関係は、愛情のように見えて、

実はお互いの自由を奪い合っている関係です。

 

 

共依存と、本物の愛情の違いは

どこにあるのでしょうか?

 

 

本物の愛情は、相手の自立を願います。

相手が自分の力で立てるように、

サポートします。

相手が自分なしでも生きられるように、

その力を信じます。

 

 

共依存は、

相手が自分を必要とし続けることを、

無意識に望みます。

相手が自立してしまうと、

自分の存在価値がなくなってしまうからです。

 

 

本物の愛情は、相手を解放します。

共依存は、相手を繋ぎ止めます。

 

 

その違いは、行動ではなく、

動機の中にあります。

 

 

この人のために何かしたい、

という純粋な動機から来ているのか。

 

 

この人に必要とされることで、

自分を保ちたいという動機から来ているのか。

 

 

どちらの動機から動いているかを、

内なる自分に聞いてみてください。

 

 

ただ、

共依存に気づいた時、

自分を責めないでほしい。

それは、あなたがその環境の中で、

精一杯生き延びてきた結果です。

 

 

でも気づいた今から、

少しずつ変えていけます。

 

 

まず、相手の問題と自分の問題を、

分けて考えることから始めてみてください。

 

 

これは相手の問題ですか、

それとも私の問題ですか。

 

 

その境界線を、

一つひとつ丁寧に引いていくこと。

 

 

次に、相手を助けたい

という気持ちが湧いた時、

自分に聞いてみてください。

 

 

「これは相手のためですか。

それとも、

自分が必要とされたいからですか。」

 

 

そして、自分自身の本音と

向き合う時間を作ること。

 

 

相手のことではなく、

自分が何を感じているか、

何を望んでいるかを、

静かに確認すること。

 

 

その積み重ねが、少しずつ

共依存のパターンから抜け出す

道を作っていきます。

 

 

共依存の関係から抜け出すことは、

相手を見捨てることではありません。

 

 

自分の人生を、

自分で生きることです。

そして相手にも、

その人自身の人生を生きてもらうことです。

 

 

本当の意味で誰かを大切にするとは、

その人の力を信じることです。

 

 

その人が自分の足で

立てると信じることです。

 

 

命を、

誰かに依存し続けることに使うのは、

あまりにも惜しいです。