新入りさん～part３

どこからどうやって来たのか

どうして、そんなとこに居たのか

この子は道路に這いつくばったまま

自分で立つことも歩くことも
できない状態で

発見される

警察にも保健所にも連絡したが

当然のごとく、この子は

誰からも探してもらえずにいた

ゴールデンレトリバー ♀

体のほとんどの毛は抜け落ち

全身皮膚病ですごい悪臭を放っていた

耳からも、目からも膿が吹き出し

体中あちこちに腫瘍が出来ていて

首に出来たデッカイ腫瘍は

破れて血と膿が吹き出していた

すぐに病院に運ぶ

自壊した腫瘍の回りの毛を先生がむしり

傷の洗浄と、消毒

目の中から吹き出す膿を掻き出した

体重 15kg

まさしく骨と皮

動けず、声も出さずグッタリとしていて

どうしてここまで放置されて

あげくのはてに

捨てられなければならなかったのか

悲しくて悔しくて

言葉にならない

「先生、この子、生きれますか？」

まずは、体中の膿を拭き取り

あちこちの傷を消毒しながら

先生は、何とか体力がつけば、、と

言った

血液検査の結果

フィラリアは奇跡の（ー）！！！

貧血と、脱水、栄養失調あり

皮膚検査では、疥癬や、アカラスは

検出できなかったが

念のため、薬を投与

急激に点滴を入れると肺水腫になる可能性もあるということで

そのまま、入院させてもらい

ゆっくり数回に分けて点滴をしてもらうことにした

心雑音もあり、かなりのシニアなのは

間違いない

いつからこの子は放置され続けたのか

両目は視力を失い

耳も聞こえなくなってた

体中に、痛みと痒みが走り

そのまま道路に捨てられた、、

どうして道路に？

せめて、誰かに拾われて欲しいと？

すごい臭いに耐えられずに

棄てたのか？

人間に買われて育てられてきた子

繁殖犬だった？

普通に可愛がられてたの？

何にも言えないから

分からないよ

「もう大丈夫だからね」って撫でても

私の声は聞こえないよね、、、

入院して３日目に病院から電話で

「もう、ご飯も食べれるし、点滴も

必要ないので退院できますよ」と

急いで迎えに走る

立てないから、先生と看護師が

抱いて私の車に運んでくれた

首の自壊した腫瘍は体力がついたら

手術で切除しない限りは

どうしようもない、と、、、

肩のあたりにあるデカイ腫瘍も

近いうちに自壊しそうな感じだが

まだ、ガリガリで体力もないこの子に

麻酔をかけるとそのまま目を開けない

可能性の方が高い、、、

体中の痒みをとるためにステロイドと

あちこちの化膿してる箇所の治療で

抗生剤が処方された

シャンプーOKの許可が降りたので

そのままオーナー宅へ

ベタベタして油が張り付いたような体中を

特注のシャンプーでこすり

油を落としていく

体力がないので、二人で手早くシャンプーし、

その後は、ドライヤー

毛がほとんどないから、すぐに乾いたよ

ベタベタとして悪臭を放っていた体は

だいぶんサラサラになり

この子も気持ち良さそうにしていた

口元へお水を運ぶとガブガブ飲んで

おやつを与えるとパクパク食べた

目は見えずとも

臭いで分かるようで

嬉しそうに食べるの

高栄養のフードを一日４回

皮膚のケア

耳の中を毎日洗浄

「うちに置いてていいよ

」

オーナーが言ってくれた

泣くほど嬉しかった

ガリガリといえども大きな体を

毎日アニマーユ（温泉成分）で拭きあげ

耳の消毒と点耳薬

目から出てくる膿を取り除き
１日３回の点眼薬

週一回のシャンプーは私も手伝って

この子は

すごくきれいになっていったよ

スーパーワイドのシーツを敷き詰め

その下には

褥瘡防止の為にフワフワのクッションを

入れてくれた

毎日しっかりと食べて

少しずつ体力もつき

頭をあげることもできるようになった

そして、仕事中にオーナーから

ラインが、、

「立ったよ！！！」

自分の力で立ち上がった！

嬉しくて

愛しくて

仕事中なのに嬉し涙が止まらず、、、

オーナーさん

ありがとう、、、

私はこの子を保護した時

看取ることになるだろうって思ってた

だから、、、

この子の日々の少しずつの変化に

感動が止まらない

そして、それは、大変なお世話を

嫌な顔ひとつせず

頑張ってくれたオーナー無しでは

あり得なかったこと

キレイになってくこの子の変化を

一緒に喜んでくれるオーナーの

とてつもなく広い心と愛情深さに

感謝してもしきれない