映画『流浪の月』を観ました | La Lumiere Life

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映画『流浪の月』を観てきました。

 

監督:李相日

出演:広瀬すず 松坂桃李 横浜流星 多部未華子 ほか

(劇場状況メモ:平日昼に鑑賞。8割近く席埋まる。年齢は幅あり。

 一人で来る方、友人とくる若者の両方)

 

■ストーリー

ファミリーレストランで働く家内更紗は、一流企業に勤める恋人亮と同棲生活を送っていた。亮の束縛が強いのが更紗のちょっとした悩みであるが穏やかで平和な生活を送っていた。ある日、同僚たちとの飲み会の帰りに、仲間の に連れられて入ったレトロな喫茶店に入った更紗。店員の顔を見て驚く。店員は佐伯文。

遡ること15年、父親に死なれ母親が家から出て行き叔母家族のもとに身を寄せていた更紗は、家に帰りたくなく公園で過ごしていたところ、同じ公園にいた文に「ぼくの家に来る?」と誘われ文の自宅へ行く。なんでも自分の自由にさせてくれる文との生活を楽しんでいた。初めて自分のことを理解してくれ落ち着ける場所を得た更紗だったが、自分が行方不明になったことが「誘拐事件」となってしまうことを知る。そしてある日キャンプ場で文と遊んでいたところを見つかり、文は犯人として逮捕されてしまった。

その文と再会。

文のそばにいたいと思う更紗、でも世間はそれを許さない。

更紗はある事件をきっかけに文の側にいるようになるのだが、世間は二人を好奇の目で見て、批判する。そして・・・

 

■感想

小説を読まないでいきましたが、小説を読もうと思います。

 

ストーリーそのものには胸が痛くなり、息がつけない感じでした。

悲しくて切ない。でも不思議と涙は出ない。

真実が見えず当事者にしかわからないことを、世間は表面的に得た情報だけで真実は理解しようとせず、好奇な目・偏った見方をすることをまざまざと映し出していたと感じたからでしょうか。

自分もこの劇中に周囲の人としていたら、この二人の関係をよくない思いで見ていただろうとも感じ、観ていて苦しくなりました。

最後の二人の覚悟、特に更紗の覚悟と強さに救いを感じることで、映画館を出ることができたかも。

 

出演者の演技はいずれも素晴らしかったです。

広瀬すずの自分の想いを常に抑えているが、芯が強い女性を演じる演技。彼女の声が今でも映像と共に浮かびます。

すずちゃんの子役を演じた白鳥玉季の悲しみを隠すような天真爛漫な演技と雰囲気も良かった。二人は似ているな〜と感じたぐらい、絶妙なキャスティングに感動。

横浜流星は良い役を演じているイメージでしたが、今回は真逆。こんな嫌なやつで落ちぶれながらおかしくなる人物を演じることができるのかと思い驚きました。

松坂桃李は、映画『娼年』の前半の頃の気力のない青年を思い出しました。全編にわたって人生への絶望感を感じさせられました。

多部未華子の贅沢な配役にも驚き。

キャスティングが豪華すぎました。

 

私にとってこの作品で特に印象的だったのはカメラワークと音楽。

回想シーンと現在のシーンの交差の仕方、現在と過去を自然に理解させてくれる映像でした。セリフなしで歩いているだけの様子を上から撮った映像は登場人物のそれぞれの想いが溢れ出るようで、頭に残っています。グレーディングは韓国で行ったそうです。

どのように脚本中に書かれたのか、どのような考えで指示して撮られ編集したのかとても知りたいです。

音楽はピアノだけのメロディーが、余計な心情を掻き立てない控えめさをもち美しかった。劇場を出てもグルグルと頭の中を巡るメロディーでした。


丁寧に作られた作品だと感じます。

 

優しい、愛、という言葉だけでは語り尽くせない内容ですが、人によっては、内容が好きではないかもしれません。

私にとっては、考え方見方の一方性を感じ、360°で物事を見て判断することができるか?を考えさせられた作品でした。

 

もし再度観たら感想は変わるかもしれません。