YouTubeは3月18日(現地時間)、偽情報対策の一環として、動画作成者に対し、生成AIで編集あるいは生成したリアルな動画にはラベルを付けることを義務付けると発表しました(YouTubeオフィシャルブログ2024年3月18日YouTubeヘルプセンター「改変コンテンツまたは合成コンテンツの使用に関する開示」Gigazine2024年3月19日ITmediaNEWS2024年3月19日)。

 

ラベルが義務付けられるケースとして、

・実在の人物の肖像を使用する(Using the likeness of a realistic person):顔を別人に置き換えたり、声を合成してその人に喋らせたりする

・実在のイベントや場所を編集する(Altering footage of real events or places):実在のビルに炎を追加して火事が起こったかのように見せる

・リアルな風景を生成する(Generating realistic scenes:):竜巻が実在する町に向かって移動する様子など

が挙げられています。編集または生成された動画が現実であるとの誤解を招きやすい場合、またその誤解による影響(害)が大きいと考えられる場合に、ラベルが義務付けられると考えれば良さそうです。「ニュースや選挙、金融、健康といった重要なテーマは目立つように表示する」のだそうです。

 

ただ、世間の耳目を集めてアクセス数&収益を稼ぎたい動画作成者にとっては、現実と見まがう動画をこそ作りたいわけで、開示の義務化がどの程度ワークするか、言い換えれば、偽情報に脆弱な個人(くすり×リテラシー2024年3月16日)を守ってくれるかは見通せません。YouTubeは「将来的には、こうした情報を一貫して開示しない選択をした動画作成者に対する強制措置を検討する(in the future we’ll look at enforcement measures for creators who consistently choose not to disclose this information)。場合によっては、動画作成者が開示していなくてもYouTubeがラベルを加えることもある(In some cases, YouTube may add a label even when a creator hasn't disclosed it)」と言っていますが。