10月1日から、いわゆるステルスマーケティング(くすり×リテラシー2022年9月25日12月27日)が景品表示法(第5条「不当な表示の禁止」の三)違反になりました(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります」)。

 

景表法上、ステルスマーケティングは「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」と定義されます(令和5年3月28日内閣府告示第19号=ステマ告示)。かみ砕くと「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示(以下、「事業者の表示」という。)であるにもかかわらず、事業者の表示であることを明瞭にしないことなどにより、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難となる表示」(2023年3月28日消費者庁長官決定)のことで、「第三者の表示であると誤認する場合、その表示内容にある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考えないことになり、この点において、一般消費者の商品選択における自主的かつ合理的な選択が阻害されるおそれがある」(同)ため、規制が正当化されることになります。一方で、事業者による表示であることが明らかなもの(いわゆる通常の広告)は上記告示の対象とはなりません。

 

消費者庁のステマ告示ガイドブック(pdf)に要領よくまとめてあり、ポイントは、

・インターネット上の表示(SNS投稿、ECサイトのレビュー投稿など)だけでなく、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌などの表示も対象

・規制の対象となるのは商品・サービスを供給する事業者(広告主)であり、広告主から広告・宣伝の依頼を受けて表示(掲載、投稿)や制作を行う第三者(インフルエンサー、アフィリエイターなど)はステマ告示の規制対象外

・ステマ告示に違反した場合、事業者に対して措置命令が行われるが課徴金はなし

・事業者が明示的に依頼・指示していなくても、ステマ告示違反になる場合がある。たとえば、「事業者が、インフルエンサー等の第三者に対し、無償で商品提供した上でSNS投稿を依頼した結果、第三者が事業者の方針に沿った表示(投稿)内容を
行った場合」や「事業者が、インフルエンサー等の第三者に対し、経済上の利益があると言外から感じさせたり、言動から推認させたりして、第三者がその事業者の商品
について表示(投稿)を行った場合」など

 

SNSだけでなくマスメディアでも、ステマ告示違反に該当する事例はけっこうありそう。いわゆる「記事広告=インフォマーシャル」はかなりグレーだと思います