文部科学省は7月4日に「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」を通知しました。昨日(4日)は文科省のウェブサイトのどこにあるか探しきれなかったのですが同省の「GIGAスクール構想の実現について」に載っていたそうです(INTERNET Watch2023年7月5日)。5日はトップページの「注目情報」にちゃんと載ってました。

 

今回の暫定ガイドラインは”初等中等教育”すなわち小学校から高校までが対象で、大学など高等教育ではありませんが、ChatGPT(くすり×リテラシー2023年2月5日2月8日2月16日2月20日3月12日3月26日3月30日4月5日4月7日4月14日4月16日4月23日5月29日6月27日6月30日)をはじめとする生成AIに児童生徒がどう向き合うべきか、という点で参考になります。

 

暫定ガイドラインでは、生成AIは「あらかじめ膨⼤な量の情報から深層学習によって構築した⼤規模⾔語モデル(LLM(Large Language Models))に基づき、ある単語や⽂章の次に来る単語や⽂章を推測し、「統計的にそれらしい応答」を⽣成するもの」と説明し、その限界として「回答は誤りを含む可能性が常にあり、時には、事実と全く異なる内容や、⽂脈と無関係な内容などが出⼒されることもある(いわゆる幻覚(ハルシネーション=Hallucination))」としています。そのため使いこなすには「対象分野に関する⼀定の知識や⾃分なりの問題意識とともに、真偽を判断する能⼒が必要となる」と述べています。

 

その上で、適切でないと考えられる例として(一部略)、

①情報モラルを含む情報活⽤能⼒が⼗分育成されていない段階で⾃由に使わせること
② レポート・⼩論⽂などで、⽣成AIによる⽣成物をそのまま⾃⼰の成果物とすること
③ 詩や俳句の創作、⾳楽・美術等の表現・鑑賞など⼦供の感性や独創性を発揮させたい場⾯、初発の感想を求める場⾯などで最初から安易に使わせること
④ テーマに基づき調べる場⾯などで、教科書等の質の担保された教材を⽤いる前に安易に使わせること
⑤ 教師が正確な知識に基づきコメント・評価すべき場⾯で、教師の代わりに安易に⽣成AIから⽣徒に対し回答させること
⑥ 定期考査や⼩テストなどで⼦供達に使わせること
⑦ 児童⽣徒の学習評価を教師がAIからの出⼒のみをもって⾏うこと
⑧ 教師が専⾨性を発揮し⼈間的な触れ合いの中で⾏うべき教育指導を実施せずに、安易に⽣成AIに相談させること

を挙げています。一方で活用できる例としては、英会話の相手をさせるとか、アイデア出し(ブレーンストーミング)などが挙げられており、現時点で常識的なラインだと感じました。