YouTube動画の再生速度について、YouTube自身による調査の結果が紹介されていました(YouTubeBlog2022年8月25日ケイタイWatch2022年8月26日)。それによると、ほとんどの人は通常速度で視聴しているものの、再生速度を変える機能を使っている人の大多数(vast majority)が速度を速めていました。最もよく使われていたのは1.5倍速で、2番目は僅差で2倍速、3番目は1.25倍速でした。

 

筆者も日本語の講演・トークの類はたいてい速めて聞いています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで2020年度から劇的に増えた大学のオンライン講義も、学生はきっと1.5倍速とか2倍速で聞いているのでしょう。昨年の

NHK文研フォーラム2021くすり×リテラシー2021年3月4日)で発表された、コロナ時代の「家庭学習におけるメディア利用の変化」調査でも「授業を倍速で見るようになった」というコメントがありました(放送研究と調査. 2021; 71: 48-63)。

 
SNSのスピードに慣れた若者は、自分が特に興味がある話題でもなければ、倍速で視聴して要点だけ頭に入れて(入れたつもりになって)時間を節約するという視聴スタイルが身に付いています。SNS経由で流れてくる友人の話題に遅れないためにも、それ以外の話題にはなるべく時間を使いたくないのが本音でしょう。全部を通常速度で視聴していたら、とうてい時間が足りません。情報の消費速度がこれまでになく速まっています。
 
そんな視聴習慣に合わせるため、YouTubeも他の動画系コンテンツ(テレビも含めて)も「わかりやすく」「短く」「(視覚的に)派手に」なっていく傾向が顕著です。言い換えれば、システム1(byカーネマン、くすり×リテラシー2021年4月21日6月4日7月15日2022年8月23日)に依存しやすい環境です。