朝日新聞のコラム(朝日2022年6月10日)で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンおよび政治に関する日本国内の偽・誤情報に関する調査が行われていたことを知ったので、ネットで探したらすぐ見つかりました(国際大学GLOCOM2022年4月13日報告書pdf概要pdf)。この調査では、misinformation=誤情報:害を与えることを意図していない誤った情報、disinformation=偽情報:害を与えることを明確な目的として意図的に捏造または操作された虚偽の情報、malinformation=悪意ある情報:害を与えることを目的として意図的に共有された事実の情報、と分類されています(くすり×リテラシー2022年5月1日)。パネルを対象にしたオンラインアンケート(本調査のN=5569、実施時期は2022年2月、ファクトチェックの時期は2021年1~10月)が行われました。

 

COVID-19ワクチン関連の以下の偽・誤情報と接触した割合は以下でした(p35)。

1各県の医師会がワクチン接種後の死亡報告を上げないことを決めた:5.0%

2コロナワクチンを打つと不妊になる:17.7%

3コロナワクチン接種者は周囲に病気をまき散らす:4.8%

4コロナワクチンには水銀が含まれていて危険である:4.6%

5コロナワクチンは感染予防にはつながらず重症化予防にしかならない:24.5%

6コロナワクチンは人口減少を目論んだものだ:9.8%

上記6つのうち1つ以上の偽・誤情報に接触したことのある人は37.1%(p36)、偽・誤情報に接触した媒体は多い順にネットニュース40.2%、SNS39.5%、マスメディア26.7%でした。若い年代ほどSNSの割合が高い結果でした(p38)。

 

1~6の情報の真偽は、「正しい情報だと思う」「わからない・どちらともいえない」「誤った情報・根拠不明確な情報だと思う」の順に以下でした(単位%)(p39)。5番目の「感染予防につながらない」は正しいと思う人が比較的多かった感じです。

1 27.4、42.1、30.5

2 6.3、28.6、65.1

3 21.7、27.4、50.9

4 15.2、25.2、59.6

5 44.5,35.4、20.0

6 1.1,31.4,57.5

 

また、事実を拡散した人より誤情報だと言及せずに拡散した人の割合が高かったのは、以前に紹介した研究と一致していました(くすり×リテラシー2020年3月1日2021年3月24日)。

 

他にも色々分析していて興味深いのですが、これらの結果を基に、官公庁・自治体のウェブサイトをより見やすくし、ファクトチェックを迅速に発信する、メディア情報リテラシー教育を充実させる、誤っていると気づいている人の投稿が拡散されやすくなる仕組みを構築する、マスメディアやネットニュースでのファクトチェック配信を強化する、など計10項目を提言しています。でもファクトチェックは労力&時間がかかるし、フェイクニュースの生産性(?)に絶対追い付かない(フェイクニュースは根拠薄弱でよいのでいくらでも簡単に作れてしまう)という問題があります。