新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックをきっかけに、真偽があやふやな情報が氾濫(インフォデミック)し、それが人々の考えや行動を左右する問題がクローズアップされるようになりました。それと同時に、misinformationやdisinformationという語が頻出するようになりました。一般に「misinformationが発信者の意図を問わない客観的な表現なのに対し、disinformationは一般的に、悪意を伴う(と受け止める側がみなした)偽情報を指す」(ITmedia2021年10月20日)と言われています。

 

最近読んだ『デタラメ:データ社会の嘘を見抜く』(日本経済新聞出版、2021、原著は『Calling Bullshit: The Art of Skepticism in a Data-Driven World』2020年)で「報道内容の偏りが目立つようになり、誤情報、偽情報、フェイクニュースが次から次へと押し寄せてくる」(p34)という文があり、アマゾンの原著の試し読みで確認(こんなことが無料でできるなんて!)したら「News coverage has become increasingly partisan. Misinformation, disinformation, and fake news abound.」でした。本ブログもこれまで誤情報と偽情報の使い分けがあやふやでした(反省します)が、今後は、misinformationは誤情報、disinformationは偽情報としたいと思います。

 

ただし『デタラメ』の第2章のタイトル「メディア、メッセージ、偽情報」は、原著では「Medium, Message, and Misinformation」でした。誤情報としてほしかったところです。本書は他にも色々面白い記述がありました。中でも良かったのは誤りを正すときのコツ(p386~)5か条です。

1 話はあくまでもシンプルに

2 人前ではやらない。相手にバツの悪い思いをさせないように

3 共通の基盤に立つ

4 相手が正しいと信じていることを必要以上に繰り返さない

5 欠落する部分を補う情報を用意しておく、デタラメを排除するだけでは相手を納得させられない

★ 節度を忘れず建設的なやりとりを