新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのブースター接種(くすり×リテラシー2021年9月15日9月18日10月20日10月28日)に関して、1月11日開催のEMAのプレス向けブリーフィング(EMA2022年1月11日YouTube2022年1月11日、23分くらいから)で興味深い見解が発表されました(YouTubeで字幕付きを選択すると、英語が聞き取りにくくても字幕を読めば意味がわかるのでたいへんありがたいです。こうやって少なくともネットを介せば英語の壁を乗り越えることができるようになってきました)。

 

EUのワクチン戦略の担当者(Head of Biological Health Threats and Vaccines Strategy)であるマルコ・カバレリ氏が、(ブースター接種を)何度も繰り返し行うと免疫システムに負荷をかけすぎてしまう(overloading the immune system)ため、1回または2回はよいが何度も繰り返すべきではなく時間をあけるべき。そして、COVID-19がパンデミックからエンデミックに移行していく時期をみて、かぜのシーズンに接種するインフルエンザワクチンと合わせる(synchronize)のが望ましい選択だと発言したのです(Bloomberg2022年1月13日抄訳は東洋経済2022年1月22日)。

 

mRNAワクチンは新型コロナウイルスのスパイクタンパク質をコードする遺伝子のmRNAを脂質の膜に包んだ製剤で、「本剤を接種し、mRNAがヒトの細胞内に取り込まれると、このmRNAを基に細胞内でウイルスのスパイクタンパク質が産生され、スパイクタンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導される」(厚生労働省「ファイザー社の新型コロナワクチンについて」)作用を持ちます。mRNAはあくまできっかけで、実際に起こる様々な反応は、自分自身に元から備わっている免疫担当細胞(や細胞どうしのネットワーク)によるものです。それを必要以上に酷使すべきでないという考え方なのだろうと思います。素人的には分かります。

 

南アフリカでは昨年11月下旬にオミクロン株が出現してからピークに達するまで約1カ月で、その後は減っています(くすり×リテラシー2022年1月12日)。増えるのも早かったけど、減るのも早かったのです。南アフリカでワクチンの2回接種が済んでいるのは27%(Our World in Data, 2022年1月14日閲覧)で、日本(79%、)の3分の1。だとすれば(2回接種で備えができている)日本の流行は短期間で元に戻るのでは?

 

一方でネット上には、COVID-19ワクチンを接種する方が自分の免疫力が落ちてかえって感染しやすくなるという説(たとえば田中宇ブログ2022年1月10日Steve Kirsch2021年12月25日)もあったりします。ネットサーフィンしていたら北海道の医師グループによる同主旨のポスターが見つかりました(北海道有志医師の会2021年12月31日)。もしそうであれば流行が長期化する可能性も?あってほしくないシナリオですが。