厚生労働省は3月5日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種後にアナフィラキシーを起こした症例報告があったことを発表しました(厚生労働省2021年3月5日)。リリースによると、基礎疾患(喘息、甲状腺機能低下症、副甲状腺機能低下症)のある30歳代の女性で、接種5分以内に咳があり、その後に呼吸が早い、まぶたの腫れ、全身のかゆみなどが見られました。薬剤(一般的にはアドレナリン、日本アレルギー学会「アナフィラキシーガイドライン」2014)投与後に軽快したとのことです。報道(朝日2021年3月5日)によると、これまでに医療従事者約4万6000人に接種されたとのことなので、まれではあっても中にはアナフィラキシーを起こす人もいると受け止めました。

 

アナフィラキシーが発生したのは5日で、その日のうちに報告、公表まで行っており、厚労省が迅速な情報公開に努めていることがうかがえます。国が公表する前にマスコミやネットで騒がれると、副反応隠しと見られてCOVID-19ワクチンそのものへの信頼が失われ、接種が進まなくなることを恐れているのでしょう。これもHPVワクチンの教訓(くすり×リテラシー2021年3月2日)かも。

 

いちばん知りたいのは、この方が喘息(=アレルギー疾患)持ちであることがアナフィラキシーと関係しているのか、さらには、他のアレルギー疾患(スギ花粉症やアトピー性皮膚炎など)はどうなのかという点ですが、リリースには特に触れられていません。

 

CDCのサイトにもう少し具体的な記載がありました(2021年3月4日更新)。

・COVID-19ワクチンの成分に対してアナフィラキシーを起こしたことのある人:接種しない

・ポリエチレングリコール(mRNAワクチン=Pfizer、Moderna製に含有)、ポリソルベート(J&J製に含有)にアレルギーのある人:別の種類のワクチンを接種できるか医師と相談

・COVID-19ワクチンと関係ないアレルギー(例、食物、ペット、毒物(venom)、環境、ラテックス)のある人:接種を推奨

・重篤なアレルギー反応の家族歴がある人:接種を推奨

 

(2021年3月7日追記)

アナフィラキシーの2例目が報告されました(厚労省2021年3月6日更新)。発表によると20歳代の女性で基礎疾患は不明。接種後15分の観察の後、約25分時点で じんましんが発生し、その後、咳、発熱、血圧低下、息苦しい等の症状がみられたそうです。投薬後に症状は改善しました。

 

(2021年3月8日追記)

アナフィラキシーの3例目が報告されました(厚労省2021年3月7日更新)。発表によると30歳代の女性で食物、動物および殺虫剤 によるアナフィラキシー の既往あり(そんな人でもワクチンを接種していたの?)。接種後約5分の時点で咳、息苦しい、のどの違和感等の症状がみられたそうです。投薬後、症状は改善したものの、経過観察の目的で入院しました。

 

(2021年3月8日追記)

12日(金)午後の第53回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和2年度第13回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)(長い!)で、COVID-19ワクチンの副反応疑い報告や、先行接種の調査について議論されます(開催案内)。

 

(2021年3月9日追記)

COVID-19ワクチンの副反応で、アナフィラキシー症例が毎日増えています。3月8日までに計8例が報告されました(厚労省2021年3月8日更新)。