話が少しそれてしまったが、火事の話に戻ろう。
お婆ちゃんと私は一階の8畳間に一緒に寝ていた、と話した。
その8畳間は廊下を隔てて、矢張り8畳間くらいの広さの板の間の台所と土間にお勝手があった。私は、何かパチパチという音で眼が覚めた。台所の方で聞こえてきたので、私は、襖を開けた。すると、お勝手と台所は、まさに火の海で真っ赤に燃え上がっていた。煙は廊下を伝わって、母親と妹が寝ている2階へと上がっていっていた。私は、大きな声で、“火事だ!”と言って、お婆ちゃんと叔父さん夫婦を起こして、2階の母親に向かっても叫んだのである。
私とお婆ちゃんは直ぐに家から飛び出し、表に出た。さて問題は、2階にいた母と妹である。廊下は煙で充満して下には降りてこれる状態ではなかった。