こんにちは。

ポカポカ陽気に包まれながら、公園のベンチでお仕事中の岡田です。

 

今回は、「現在行われている身体技法的なヨガは、欧州の体操(Gymnastics)の影響を受けているらしいよ説」の第1部です。

 

ここ最近?それとも前からか、ヨガ(以下、「ヨーガ」と記す)やピラティスの業界では、原点回帰しようぜ運動が行われています。

例えば、ヨーガの本質?を知っているマスターがインドから日本に来て「本来のヨーガとは何ぞや?」を伝えに来たり、古典ヨーガを核にしたヨーガインストラクターを養成するコースが開催されています。

それほど、現代ヨーガを見直さないと、ヨーガ本来の良さ、伝統が失われてしまうのではないか?と、危惧している方々が様々な形でヨーガを発信しています。

 

そこで、個人的に疑問に思ったのは、「現代ヨーガはどのように身体的ポーズ(アーサナ)に焦点を当てたものになったのか?」でした。

それは、僕自身アーサナに焦点を当てたヨーガをリードしているヨーガインストラクターだからだと思います。

「そもそも古典ヨーガって何?中世ヨーガって何?」については、こちらは様々な分野や専門の方がブログやらSNSやらで書いていますので、今回は割愛します。

*いずれ書きます、、、いずれ(笑)

 

さて、「現代ヨーガ」「身体技法」で調べてみると、現代ヨーガの歴史を紐解くうえで、大切なキーワードが出て来ました。

1.テュルマライ・クリシュナマチャリア

2.YMCA

3.欧州式体操

 

今回は、テュルマライ・クリシュナマチャリアについて書いていきます。

彼は近代ヨーガの父と呼ばれており、現代ヨーガは彼のヨーガから派生したものであると言ってもおかしくはありません。

クリシュナマチャリアは、ヨーガの大家ラマモハン・ブラフマチャリアに弟子入りし、5年以上かけて師のもとで修行したそうです。

そして、免許皆伝の時に、師から「ヨーガを世間に知らしめよ」というミッションを伝えられ、愚直にそのミッションを遂行していきます。

1933年には、マハラジャ・クリシュナラジャ・ウディア4世の支配下にあったマイソールにて、身体文化再興のために約20年間ヨガを教えることになります。そして、その20年間に現代ヨーガの源流が作られるきっかけが生まれます。

1937年、当時のインドはイギリスの統治下であった背景から、クリシュナマチャリアは欧州から来た学生を教え子にも持ちます。

この頃に教えた弟子たちのなかに、「アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨーガ」を考案したシュリ・K・パタビジョイス、「アイアンガーヨガ」を考案したB・K・S・アイアンガーがいました。

*シュリ・K・パタビジョイス

アシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨーガの考案者。ヨガを習った時期が20歳と若かったこともあり、クリシュナマチャリアから非常に機敏に動くスタイルのヨガを教えられる。その経験から呼吸よりも身体の剛性や柔性を強調したダイナミックなヨーガを伝えている。

*B・K・S・アイアンガー

アイアンガーヨガの考案者。当時怪我のリハビリのためにヨーガを学んでいたということから、クリシュナマチャリアからは動きの少なく、ホールド時間が長いヨーガを教えられる。その経験から規律やアーサナのアライメントを重視したヨーガを大切にしている。

 

このように、クリシュナマチャリアは、各弟子たちの特性に合わせて身体を動かすヨーガを教えていきました。 

クリシュナマチャリアは、ヨーガスートラやウパニシャッドのような古典的な教典や伝統的な考えに敬意を払いつつ、「個の特性」に合わせたヨーガを考案し教え、伝えていく柔軟性に富んだ人と考えられます。

 

では、なぜ彼はそこまで柔軟にヨーガを「目の前にいる人」たちのために考案していけたのかは、その当時の時代背景にあるようです。

 

次回は、2つ目のキーワードYMCAと時代背景について書いていきます。

 

 

引用参考文献

・伊藤雅之(2011)「現代ヨーガの系譜 : スピリチュアリティ文化との融合に着目して」宗教研究 84(4), 1255-1256

・Mark Singleton(2010)"Yoga Body, The Origins of Modern Posture Practice" , Oxford University Press

マーク・シングルトン著・喜多千草翻訳『ヨガ・ボディ ポーズ練習の起源』大隅書店