【第八話】
前回までのあらすじ
ミンシアを守るネルセン。
危機一髪のところにヴァイトが駆けつける。
二人を逃がすために、時間稼ぎを買って出るが・・・
いつの間にやら周りに霧が出ていた。
「霧? これで僕らも逃げやすく・・・ってあれ? ミンシア? どこ? ミンシア!」
気がつかないうちにミンシアの姿が消えていた。慌てて探すネルセンだったが、この霧に阻まれてその姿を見つけることができない。
「どうしよう。このままじゃみんな散り散りに。ミンシア! ミンシア―!」
深い霧の中を手探りで歩き出す。
力強く立つヴァイトの右足の下には、近衛兵がねじ伏せられていた。
「ぐおおぉぉぉ!」
一声吠えてふと力を緩めるヴァイト。
「わぁ! わああぁぁ!」
「一昨日きやがれってんだ」
一目散に逃げてゆく近衛兵の姿を見送って、緊張をねぎらうかのようにふうと一つ短い息を吐いた。
「っ!」
不意に気配を感じて身をよじる。右肩に痛みが走る。まだ敵がいたのか!
「何モンだ! 姿を見せろ!」
「殺ったと思ったのにな。やるね、おじさん」
木陰から双剣を手にした男がゆらりと姿を現した。
「何だオメェ? 近衛兵では、ないな」
「ご名答。見事当たったからには、おじさんにはここで、物言わぬ肉塊になってもらうよ」
「あいにく俺は、こう見えておしゃべりなんでね!」
男の腰が沈むと同時に、グンッと男の姿が大きくなる。一気に間合いを詰められた! 速い! そこから立て続けに剣が横薙ぎに来るのを、ガバッと地面に伏せてかわす。流れるようにもう一つの剣が上から襲ってくる。全身に力を込めて後ろに飛び退くヴァイト。チッと前髪をかすめる音がする。
「久しぶりだな・・・この高揚感。楽しませてくれよ。おじさん」
「ちょっとやべぇかもしれねぇな」
跳んだかと思ったら、空から二つの剣が降ってくる! 右に飛んでかわす。すかさず左に薙ぎ払い! 爪でこれを受ける! ガッと喉元を噛みちぎろうとするが、右の剣で受けられる。
「そろそろ頃合かな?」
「僕から、逃げられるとでも思っているのかな?」
湿り気のある風を感じる。
飛び込みざまの突きをかわし、匂いの元へと全力で走る!
「待て! 逃がさないぞ!」
霧だ! ヴァイトの姿が霧の中へと消えていく。
「チッ! 運の良い奴だ」
双剣の男は以外にもあっさりとヴァイトの姿を見送って、姿を消した。
・・・つづく
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