徳島の阿波番茶・高知の碁石茶・富山のバタバタ茶と並んで石鎚黒茶(いしづきくろちゃ)は日本で4つある後発酵茶の1つになります。
愛媛県西条にて江戸時代より続いています。
西日本一の最高峰の石鎚山の麗に代々空海が伝えたと言われた製法が用いられてといわれています。
現在では生産を引き継ぐ農家もいないため生活研究グループによって伝承されたものが天狗茶として販売されています。
生産・販売量は少なくなりましたが、その土地で作られていたお茶を感じてみるのはいかがでしょうか。
徳島の阿波番茶と同様の山間部で栽培されているお茶になります。石鎚黒茶は多くは地元の人が飲むお茶ではありませんでした。瀬戸内海の漁師の人たちに一括購入されて飲まれていたようです。
山間部で冬は特に思うように作物が作れない中で、特産品を作る必要がありお茶を発酵させて届けるということが発展していったのではないでしょうか。
後発酵茶とは、摘まれた茶葉を微生物の力で発酵させたお茶のことです。
お茶といっても様々あり、緑茶、紅茶、烏龍茶とあります。これは原料は同じで発酵度合いによって決まってくるものになります。緑茶は不発酵茶。ウーロン茶は半発酵茶。紅茶は発酵茶。
大きくは不発酵茶・半発酵茶・発酵茶にわけることができます。
紅茶は発酵茶になりますが、茶葉に含まれる酸化酵素で発酵させるのに対し後発酵茶はカビや乳酸菌など微生物の働きによって茶葉を発酵させます。
茶葉には酵素が含まれていますので、後発酵茶はこの酵素を熱処理で殺青(さっそう)させて酵素の働きを止め(発酵を止める)ここに微生物を加えて発酵させます。
中国の黒茶(プーアル茶)も後発酵茶になります。
徳島の阿波番茶や高知の碁石茶とともに、無形文化財に指定されています。
発酵食品には5大効果というものがあります。
●保存性がある
●栄養価がある
●美味しさアップ
●吸収率があがる
●腸内環境改善
保存食として使われているだけでなく、栄養価や美味しさアップにもつながる効果もあったのですね。
それぞれの土地の風土や文化を反映した発酵食品が全国で古くより作られてきたのでしょう。
主に秋から冬の作物が少ない時期に発酵食品は作られてきました。1年を通して食料に困らないためにと振り絞った知恵なのでしょう。
愛媛の石鎚黒茶も山間部の人々が作物がとれない冬にどこへ何を供給できるかと考えて作られたものだったという事でしょう。
全国数少ない後発酵茶を一度試してみるのも良いかもしれません。