「あーーーーーお腹痛い」

「下痢かなぁ・・」

 

そんなことは珍しくはなかった。

滅多に風邪をひかない私は、産後胃腸がどんどん弱くなっていた。

んーまあ、ラーメン一杯を完食できなくなったのは、20代からだけど。

 

2013年妊娠初期、それまで嘔吐したことはないと言うくらい記憶にない、嘔吐経験0であろう私は悪阻に襲われる。妊娠が分かる少し前から。

「今まで胃腸炎なんてなったことないのにな・・・」

なんて思ってたんだけど、その後妊娠していたことを知る。

嘔吐することが嫌で嫌で仕方ない日々。だって普段はお尻を向けるトイレの便器に顔を向けるんだよ?汚いし臭いし、喉も違和感あるし胸焼けもひどい。吐いた後もスッキリするわけじゃない。

「これいつまで続くの・・・」

妊娠中に見ていた雑誌に載ってた、この時期に現れる症状っていうカレンダーとかもいつも見ていて、見事にその通りに現れてくれて。今考えると自分で自分の体調を、思い込みによってコントロールしていたんだろうなとすごく思う。

 

タイトルと少しずれてきたけど、そんなこんなで、「私の胃腸は弱くなったな」なんて思いながら、食べられるものを適当に、栄養とか体に良いものとか、そんなことは考えずに呑気に暮らしていた。

 

2016年第二子を出産後「下痢かな・・・」と思って夜な夜なトイレに駆け込むことが少しずつ1年また1年と本当に少しづつ、増えていった。トイレに駆け込みすんなり出てくれる事もあれば、「お腹痛いのになんだろ・・・」とすぐに出ないことや、しばらく頑張って出してる感じの時もあった。

どのくらいの頻度だったかとか、どのくらいの月日だったかとかは全く分からない。それくらい、「あー胃腸が弱くなったなぁ」と思ってはまた忘れての繰り返しだった。

それは忘れた頃にまたやってきて苦しませる。忘れられる日があった時はまだ良かったのかもしれない。

 

2019年になると、寝る前や、寝ている時に何度も何度も、お腹をおさえながら布団にくるまることや、トイレに駆け込むことが増えていった。それからだった、今度は体がやけに震え始めて止まらない。

「あーお腹が痛くて、下痢だから寒気がするんだ」

って思ってるうちに症状はどんどんひどくなっていった。

「今日もお腹痛い・・・」

「今日も夜中に起きちゃった」

「体が震える・・・」

「手が痺れてるんだけど・・・」

隣で寝ている当時の旦那にも言った。

「ねえねえ、寒いのかな。トイレに行っても何も出ないのにお腹が痛い」

「寒いのかな?体も震えるの・・・」

 

 

その時の体の震え方は、寒くてブルブルするという感じではない。

体が部分的に硬直してガクガク!ブルブル!一瞬で震えて止まってを小刻みに繰り返す。

考えれば考えるほど、止めようとすればするほどに止まらなくなる。

それで?旦那がどうしてくれたかって?

目も開けずにね、「あー大丈夫だよ、大丈夫。」と片手でトントンする。

私は旦那の片腕にしがみつくか、子どもに抱きつくかして、またなんとか眠りについた。

朝起きてからだって、「大丈夫だった?」の一言もない。

覚えてないのか、何も気にしてないのか。どっちでも同じだけどさ。

 

「私、病気かな?」

「脳の病気?心臓の病気?」

「手と足が震えるって危なくない?」

何回言ったかな?何回もそうやって色々思って、考えて、でも怖いから絶対に調べなかった。病院に行く事も恐怖だった。だって何か大きな病気だったらどうする?そんな気持ちでいた。誰かに言えば良かったのに旦那にしか言ってなかった。寝ることも怖くなって、目を瞑っても眠気すら感じなかった。やっと寝れたと思ったらアラームが鳴って、子どもの保育園と私の仕事に行く準備。寝たのか寝てないのか分からない感覚で朝を迎えていた。

あれは一体何日くらい続いてたんだろう?

 

「寝たらもう目を覚まさないかもしれない。」

「このまま死んじゃうかもしれない。」

「子どもたちにもう会えないのかな・・・」

「成人式までは生きていたいんだけどな・・・」

「今日死んじゃうのかも。」

どのくらいの期間そう思っていたのかは、分からない。

 

覚えてるのは、2019年の梅雨はとても長かった。そう感じていただけかもしれないけど。

2019年7月にはほぼ毎日のように、死について考えては勝手に不安になって。

今日かも、今日かも、明日には・・なんて夜が来るたび、一人の時間になるたび、頭をよぎった。初めは、う○ちでお腹が痛いって思ってたのに。こんなことになるなんて思ってなかった。

 

一つだけ言いたいのは、あの時隣にいた旦那がもっと心配してくれて親身になってくれていたら、私の心は落ち着いていったかもしれない・・・もっと一緒に子育てしたり優しさをたくさんくれたら、不安や恐怖よりも楽しい未来を描きながら、ご機嫌で過ごせるようになったかもしれないのに・・・

 

「たられば」

 

とはこのこと。

 

そんな7月に、私は人生で初めての過呼吸(パニック発作)を起こした。