脳卒中・脳梗塞ランキング
⭕脳卒中(脳出血・脳梗塞)発症→弛緩性麻痺→痙縮→拘縮(末端の線維化)(麻痺側の手足が動き始めることの考察)
●寝てばかりいて体を動かさないと健常者も(拘縮を防ぐには、関節を毎日20分以上ストレッチし続けないといけない)、たった2~3日で拘縮は起こり始めます。脳卒中(脳出血・脳梗塞)で弛緩性麻痺・痙縮などで体を充分に動かさないと、2〜3日で拘縮が始まることも意味します。(現在のリハビリには痙縮と拘縮が同時に発生しているという視点が足らないように思います。通常は痙縮→拘縮へと進行すると考えられているようです。)
脳からの指令が出なくなると錐体外路のコントロールがされなくなり、脊髄〜骨格筋との反射が亢進(筋紡錘の異常により伸張反射が亢進)されて手足の強張り・突っ張りなどの痙縮が発生します。
痙縮は自分の意志とは関係なく筋肉が緊張し過ぎて硬くなり、動きにくかったり、手足が突っ張ったり曲がったままの状態です。【痙縮の発現には網様体脊髄路(予測して動作姿勢を安定させる)・前庭脊髄路の興奮など、未だに解明されていない事があるようで、現在も研究中だそうです。】
痙縮の発現はともあれ、麻痺側の手足が動くようになる事は、「何を意味するのか?」という事の方が脳卒中経験者には重要だと思います。
脳には環境によって変化する脳の可塑性がある事が分かっていますから、脳の可塑性により麻痺側の手足は次第に動くようになって行きます。
これは、痙縮が減少することを意味していると、私は考えています。そして、次第に末端の線維化=拘縮が麻痺側の運動障害の一番の原因になって行くとも考えています
次第に麻痺側の手足が動くようになると、障害を受けた脳の半球と反対の半球の代わり繋ぎはあるものの、障害を受けた脳のペナンブラ領域に新しい回路が作成されて運動野と繋がり指令が出て運動障害の原因が痙縮から拘縮へと代わって行くことになります。(私見)
●脳の活動(指令)と運動との関係から脳卒中を診ると
運動を熟練したスポーツ選手(参考白黒写真図1=白い範囲が小さい)や健常者で運動のイメージが出来る場合は→脳の活動範囲部分が小さい=運動が洗練されているから、余計な活動をしない=的確な指令による熟練し洗練された運動
一方、運動を熟練していない素人や脳卒中後(運動のイメージ出来ない)の場合は→脳の活動範囲部分が広い、又は、左右脳にまたがる程の活動範囲が広い(参考図−2・赤い範囲が広い=運動が洗練されていないから、余計な活動をしてしまう=あいまいな指令による運動
私見ですが、おそらく
①ビューティローラーの強烈な刺激から、
②感覚が知覚になり、
③1次感覚野に脳内地図が再度作成(脳内地図には損傷がない場合もあり)されて、
④はっきりと部位が特定された1次感覚野の脳内地図になると
⑤知覚が洗練(1次感覚野の脳の活動範囲が狭い)されて、
⑥大脳の運動が洗練(脳の1次運動野の活動範囲が狭い)されて行く
だろうと思います。そして、運動が洗練されて行くと知覚が更に洗練されて行くという好循環(熟練)になるのだとも思います。
これは、脳卒中後遺症の運動障害からの回復に繋がる好循環(熟練)でもあります。
参考図−2→1+2・You Tubeリハビリによる脳内の変化について・愛知県豊橋市の脳梗塞・脳出血後遺症専門自費リハビリスタジオActive
いずれにしても、
① 健側脳・患側脳(=脳卒中発症脳→健側と患側にまたがって指令
② 脳卒中後の脳の片代わり(約10% 例−左半球が脳卒中→健側の右半球脳へ)→から指令
③ 患側の辛うじて生き残っているペナンブラ領域の新しい回路(シナプス結合によるネットワーク)→から指令
①②③に関わらず
麻痺側の手足が動くようになるということは、大脳の運動野から運動神経繊維の通り路である錐体路(皮質脊髄路)、それをコントロールする錐体外路が機能しているということだと考えています。
これは、脳卒中後に脳からの指令が出なくなり脊髄〜末端との反射亢進による手足の異常緊張による強張り・突っ張りである痙縮が減少して来ていることを意味していると考えられます。
麻痺側の手足が動き痙縮が減少して来ているのに、筋肉を充分に解し柔らかくしないで反復運動訓練を繰り返すと、末端の繊維化である拘縮が進行、且つ加齢もあり、腕は曲がったままで固まり、ぶん回し歩行の改善も難しいでしょう。(これに言及している人は見当たらないので、私見とさせてもらいますが、ご存知の方がいらっしゃいましたら教えて下さい)
脳卒中後遺症の運動障害からの完全回復は、言わば「末端の線維化=拘縮+老化」vs「筋肉を柔らかく血流改善」との戦い・競争なのです。
参考写真→麻痺側の手足が動くのに、末端を解し柔らかくしないで反復運動訓練を行うと拘縮が進行して痙縮のまま固まる
(痙縮・横須賀市東戸塚記念病院)
そして次第に麻痺側の手足の運動が洗練されて行くと、ぼやけた指令(両側が跨る運動野の活動など)が洗練されて行き、正常な以前の交叉した運動野からの指令に戻って行くと思われます。
●痙縮から→拘縮へ
寝たきり(健常者でも)や脳卒中後は
麻痺側の手足が動き始めると痙縮が減少して、拘縮が運動障害の一番の原因になって来ます。
麻痺側の手足を動かさないために筋肉ポンプが働かずに血流障害になり、関節やその周囲への十分な栄養や酸素を送ることができなくなってしまうと拘縮が発生します。 関節の周りにある皮膚や筋肉などは硬く、伸びにくくなり、少しずつ関節が動きにくくなっていきます。
具体的には筋肉(骨格筋)・筋膜・腱、靭帯・関節・関節包(関節を覆っている膜)、皮膚などが
寝たきりや脳卒中により、体を動かさないでいると、血流障害により低栄誉・低酸素状態・慢性的炎症状態になり、それでも生体は無理に修復しようとします。足らないのに無理に修復されてしまい、
結果として末端が縮み、コラーゲン線維が絡みつくことにより伸びなくなり末端が動かし難くなり末端の線維化=拘縮が進行します。
また、筋力の低下は拍車をかけることになって行きます。
現在の拘縮の治療は、温熱療法(ホットパック)や超音波療法などの物理療法です。
ホットパックや極超短波などで麻痺部分の組織の温度を上げて血流を改善させ、 拘縮を起こしている組織の水分量が多くして、血流障害の改善を期待して実施しています。
残念ながら現在は、マシン(特にビューティローラー)使用による繰り返しの強制的・受動的な刺激療法(刺激→感覚→知覚→感覚野→ペナンブラ領域に新しい回路→運動野と繋がり指令)は実施されていないようです。
参考→痙縮とビューティローラー-2(私の考える脳の可塑性−19)→ビューティローラー振動周波数と痙縮について(2024年07/02追加あり)