自己満足とか自己陶酔などナルシシズムにつながる言葉はあまりよい意味でとらえられることはありませんが、音楽の世界では一種独特の響きが違ったニュアンスで表現されます。音楽アーティストは無我の境地ともいえる集中力の狭間で、自己陶酔にも似た感覚を味わうようです。プレイヤーは演奏に集中しているときには非常にテンションが上がっています。張り詰めた緊張の中での演奏は常になにがしかの危うさを持っていて、スケールアウトも辞さない覚悟の演奏は非常にスリリングで聴衆を魅了していきます。

 

実況録音盤にこのような緊張感が漂っているのは、その場限りの演奏の中に残された記録だからこそです。レコーディングスタジオでは何かでも撮り直しが可能で、パンチインパンチアウトなどの編集も楽にできます。スタジオレコーディングは曲に一定のクオリティが要求されるために雑な演奏は許されませんが、聴衆の中には音楽アーティストのライブな演奏の中での、自然発生的なマジックを期待する人もたくさんいます。

 

スタジオ録音のニューアルバムも期待していながら、ライブでのプレイが見たくなるのはその場限りの緊張感を得ることが快感にもつながることから、たくさんの聴衆たちに求められているものなのです。音楽アーティストの優れた即興演奏に触れる機会はスタジオ録音盤では絶対に味わうことが不可能です。優れたミュージシャンであるほどアドリブ演奏であっても、クオリティの高い演奏を聴かせてくれることができます。

 

音を出した瞬間から始まる長い演奏をどれだけ楽しむことができるか、聴衆にもさまざまな経験を求められる部分です。あらゆる音楽を楽しんでいればどのようジャンルであっても一通りの反応をすることができます、ぼんやりと演奏を聴き流すだけでなく、耳を鍛える意味でもいろいろな音楽に触れることは重要です。好きな音楽アーティストのライブで始まる新たなアレンジを受け入れることができれば、聴衆も共に成長していくことができます。