「厄除け詩集」には、12編の詩。“蛸のぶつ切り”とか(「逸題」)、“私は慢性の腸カタル”とか(「冬の池畔 -甲州大正池-」)、“けふ顎のはづれた人を見た”とか(「顎」)。結構、独特。“そのなだれに/熊が乗つてゐる”(「なだれ」)…ほんまか!?と突っ込みたくなる。
「譯詩」には、漢詩の訳が17編。一番有名なのは、“花発多風雨/人生足別離”を“ハナニアラシノタトヘモアルゾ/「サヨナラ」ダケガ人生ダ”と訳したものか(于武陵「勧酒」)。
カタカナと旧漢字による漢詩の井伏訳は、基本、七音の繰り返しで、リズムがあっておもしろい。
「アサガヤアタリデ大ザケノンダ」の訳もあるが(高適「田家春望」)、阿佐ヶ谷が中国にあるはずもなく。どうして、こうなるのか…阿佐ヶ谷を知っていたら納得できる訳なのかも知れないが。
1937年(昭和12)刊行らしい。
★『画本 厄除け詩集』 井伏鱒二・著、金井田英津子・画、パロル舎・刊、2008.12、\2300+税

花はやはり、桜を想像する。