昔から、アルバムをリリースする際に、

「ライブでハンジさんから直接買いたいんで、買うのを我慢してます!」って言ってくれるファンが多い。

そう言ってもらえるのは非常に嬉しいし、ぶっちゃけ、ライブ会場での手売りはダイレクトな分、金額的な見返りは大きい。


でも、実は出来ればレコード屋さんで前もって買ってもらえた方がもっと嬉しかったりする。

そんでライブハウスに「買ったよー」って持ってきて見せてもらえるのが一番嬉しいんよな。

もうサインでも写真でも握手でもハグでもキスでも何でもしちゃうぐらい嬉しい(笑)


これって意外と知られとらん事みたいだもんで、その理由も真面目に考えてみようと思う。


まず第一に、10年前と比べてCD自体の売り上げが激減しとる。

プロデュースで関わっとる若い子たちの大半がCDプレイヤーを触ったことがないって事実にマジで震えた(笑)

10代にとってCDはもはや過去の遺物。


そして音楽をお店で買うって行為のハードルも上がりまくっとる。

ワシ自身、お店でCDを買うなんて行為は滅多にせんくなっとるもん。


要するにレコード屋さんの経営は非常に厳しい時代ってこと。


今は何でもネットで調べられる時代。

テレビやSNSなどで気になった音楽に出会えばまず、YouTubeにあるかチェックする。

そんで、自分のライブラリーとして手元に欲しくなれば、今すぐ手に入るiTunesで購入する。

物体としてのCDが欲しければアマゾンとかの通販でポチッとするだけで明日には手に入る。

普段からネットを使っとる人間にとってはこれが普通の流れだと思う。


だってわざわざ街に出てレコード屋に探しに行っても見つからん事の方が圧倒的に多いんだで仕方がない。

わざわざ音楽を買いに行きたいって思う人が望むCDって基本マニアックだし。


無名のHANZI BANDを知ってくれとって、アルバムを買おうなんて思ってくれるような人はコアな音楽ファン。

そんな人たちのほとんどはアマゾンとかiTunesとかを日頃から使っとる人。

そんな人たちにわざわざレコード屋さんでアルバムを買ってもらいたいって願望自体がおこがましいことかもしれん。


でも、だからこそ、レコード屋さんで買ってもらえたら格別に嬉しいんよな。

だって20年以上音楽をやっとるワシらはレコード屋さんにめちゃくちゃお世話になっとるもん。

ほんの僅かでもレコード屋さんに恩返しがしたいんよ。

(HANZI BANDレベルの売り上げで恩返しになるかどうかは置いといて。。。気持ちの問題っす。。。)


レコード屋さんだって、商品を在庫するのにスペースやら手間やらかかる。

物を置く場所にだって家賃や光熱費がかかるし、管理する人件費もかかるのが現実。

売れるかわからん“作品”より確実に売れる“商品”しか在庫したくないのは当然。


ハンサム兄弟がガンガンいっとった2000年初頭は、レコード屋のバイヤーさんが個人的にオススメしたいアルバムを露骨にプッシュできた時代。

事務所が協賛金もなんも出しとらんのに、なぜか信じられんぐらい大プッシュしてくれたお店があったりもした。

椎名林檎の新譜コーナーに「椎名林檎が敬愛するハンサム兄弟のニューアルバム!」みたいなデッカいPOPを置いてくれたりと、本当に全国のレコード屋さんにはお世話になった。

新潟の上越のレコード屋さんとか北海道のタワレコとかでは浜崎あゆみとかB'zとかミスチルをおさえてハンサム兄弟がチャート1位になっちゃって、取材にきたテレビ番組を困らせたこともあったり(笑)


2000年初頭まではこんな風に一般的には全く売れとらんアーティストでも地元のレコード屋さんのおかげで局地的にブレイクすることも少なくなかった。

これは自分自身で実際に体験したことだで間違いない。


デブパレードとしてメジャーデビューした2008年の時点でも、メジャーからリリースしたデブパレードのCDより、インディーズレーベルから出したハンサム兄弟のアルバムの方をプッシュしてくれたレコード屋さんもあったぐらいだで、まだ日本のレコード屋さんはギリギリ元気があったんかも。

でもその2年前の2006年にアメリカのタワーレコードが破産してアメリカでは実店舗がゼロになったり、2010年には天下の渋谷HMVが閉店したって事実から考えると、ちょうどこのデブパレードがメジャーデビューした2008年がレコード屋さん的にもターニングポイントだったんかもな。


でも今はもっともっとCDが売れん時代。

お店としてもそんな余裕もないのが現実。

確実に売れるチャート上位のCDしか在庫を持ちたくないのが当たり前。


悲しいことに「音楽を局地的に広める」という文化的に重要な役割を担うのは、もはやレコード屋さんではなくなっちゃったんかもな。


でも、そんな時代にもかかわらずHANZI BANDのデビューアルバムを注文してくれたレコード屋さんが沢山ある。

お店で買って欲しいって思いは、そんなお店のバイヤーさんの英断に対する感謝の気持ちがデカイんよ。


そういえばワシがまだ豊橋におる頃、ラビットフットレコードという小さなレコード屋さんがあったことを思い出した。

あそこに行けばカッコいい音楽に出会えるってお店で、ちょっと背伸びしてラビットフットレコードに行くことが仲間内でステータスですらあった。

分かりもせんくせに細長いプラケースに入った輸入盤を物知り顔でじっくり吟味するのがかっこいいって思っとった(笑)


今は破産しちゃったけど世界的大企業だったアメリカのタワーレコードも誕生した時はそんなお店だったらしい。

確かドラッグストアの息子が親父の店の一角に自分の好きなレコードを売るコーナーを作ったことが始まりだったって聞いた記憶がある。

日本のタワレコにもそんな起業スピリッツが引き継がれとったもんで全国のタワレコのバイヤーさんが個人的にハンサム兄弟みたいなマニアックな存在をプッシュできたんだと思う。


今ある日本のタワレコは2002年にアメリカの本社から売却されてアメリカのタワレコとは別経営になって今はドコモとかセブンイレブンの傘下になっとるらしい。

そんで日本なりのやり方でちゃんと存続できとるのは世界的に見てもレアなケースなんだって。


でもやっぱ、レコード屋さんにはこれからもずっと「音楽を局地的に広める」という文化的な役割を担い続けて欲しい。

あそこへ行けばかっちょいい音楽に出会えるってワクワクする場所であり続けてくれることを願う。

今後もっとCDが衰退するのは確実だけど、音楽自体はなくなることはないはずだでね。


昔、作った唄で「アゲハチョウ追いかけて迷子になりました、形のない唄をうたうのが怖くて」って歌詞があるんけど、なんか今となっては我ながらますます沁みる言葉。


そもそも音楽には形がないんよ。

だでその容れ物が変わっていくのは当然のこと。


このブログであえて「CD屋さん」じゃなく「レコード屋さん」って表記しとるのもそんな思いから。

レコードからCDに時代が移ってもレコード屋さんって呼ばれ続けとるじゃん?

いつかCDがなくなって、次の容れ物になったとしても、音楽をレコーディングしたものを売ることには変わらんだよ。

だでずっとレコード屋さんでいいんよ。


実は2012年にハンサム兄弟でリリースした「傷だらけのハンサム」はあえてカセットテープ限定で発売した。

CDが売れない時代に対するひとつの画期的なアクションのつもりだったけどちょっと早すぎて誰もフォローしてくれんかった(笑)
実際カーステで爆音で聴くカセットテープの音は最高だったんけどなあ。

昨年Bro.Hiとでリリースした「光る石ころ」もあえての配信限定だったもんで“CD”としては久々のリリース。


でも、もしかしたら“CD”としてワシの音楽をリリースするのはこのアルバムが最後かもな。

この1年とか2年でもっと急激にCDはなくなっていくと思うでね。


そんなこともあって、この「横綱バンジージャンプ」というアルバムはちゃんとレコード屋さんで流通してもらうことを選んだし、CDのパッケージにもこだわって作ったんよ。

流通も、今でも音楽を広めるという文化的な役割を担っとるって感じさせてくれるディスクユニオンにお願いした。

ディスクユニオンのジャズ館に毎日のように通った時期があえるぐらいユニオンが好きだもんでね。


いつかまたレコード屋さんが局地的な流行を作り出せる時代が来ることを願うと同時に、自分らの音楽を届ける新たな方法も本気で模索していかんといかんのん。



長々と書いちゃったけど、そんな訳で、CD屋さんで買ってもらえたら物凄く嬉しいんよ。

もちろん、ライブ会場で直接買ってもらえるのもめっちゃ嬉しいけどね。

image

すでに初回出荷枚数も出て、パン粉社長の監督の元、ディストリビューターさんへ送る荷造りも完了!

昔と比べたら初動は渋いけどHANZI BANDみたいなバンドのアルバムはここからが勝負。

もちろんライブで直接買ってもらえるのも嬉しいんけど、出来ればツアーで会いに行く前にゲットしてもらえたら最高なんよな。

近くにタワレコやディスクユニオンがない人はアマゾンでも是非!

image

タワレコ&ディスクユニオン限定の初回特典の握手券という名のステッカー。

スマホに丁度いいサイズ!


追記

実際、音質的にもCDには限界があるんよ。

今回のアルバムもスタジオでマスタリングしたマスター音源と、それを使ってプレスした製品盤では音が全然違う。

アナログレコードなら有機的な変化って感じられて逆にいい気もするけど、デジタルだと単なるデータの劣化って感じちゃうケースも多い。

幸い、横綱バンジージャンプはマスター音源から音質は変わったけど、劣化ではなく有機的な変化って感じられたもんでよかった。

ハイエンドとローエンドの質感は変わったけど、アナログレコードみたいな塊感や暖かみが増した感じでむしろラッキー。

でもこれも運みたいなもんだで怖いんよな。


image

アーティスト:HANZI BAND(ハンジバンド)
タイトル:「横綱バンジージャンプ - YOKOZUNA BUNGEE JUMP」
発売日:2016年3月9日
価格:2,000 円(税抜き)
品番:NRHR-0001
JANコード:4988044926554
販売元:DISK UNION DISTRIBUTION
発売元:SOUKEN ENTERTAINMENT CO.LTD / noseride

1. HANZI BAND のテーマ
2. ヒップホップ音頭~In the name of HIP HOP
3. Baby Rock
4. 前夜
5. 妄想暴走
6. You May Dream feat.Bro.Hi (ex.SOUL’d OUT)
7. PUNK ON OUT A rough session
8. 砂の時計
9. 光る石ころ
10. あかさたな
11. ハンジバンドアゲイン
12. 夢みたいな夢


You May Dream feat.Bro.Hi (ex.SOUL’d OUT) short ver.


ヒップホップ音頭 with Bro.Hi (Official Music Video)


妄想暴走 (Official Music Video)


砂の時計 (Official Music Video)