相当な決意を持ってこの道を進むことを決めたとしても

ふと

この道が間違っとるんじゃないかって迷うこともある


でも唄を唄う唄い人なら

その迷いさえも唄として唄えばいい


一片の迷いもない唄は圧倒的な強さがあるが

逆に圧倒的すぎるという弱点もある


迷いの中から産み出された唄は一見、弱く見えるかもしれんけど

その弱さには不思議なパワーがある


迷うぐらいだったら迷わない道に戻ればいい?


迷うことの力を知ろうとしない人からよく言われる全く的外れな意見

今は迷って迷って迷いまくってみたい時


どうしたらいいんだろう

どっちがいいんだろう


そんな地味な迷いの日々をステージで一気に爆発させる

ステージに上がればもちろん迷いはない


一見、形は違うかもしれんけどワシ自身はほとんど変わっとらん

スタイルを使い分けるような器用さは幸いな事に持ち合わせとらん


それまでの過程が今までの道と違うだけ

攻め込む世界が今までと全く違うだけ


まだワシの唄を聴いた事がない人が無数に居るんよ


その場所がどこにあるのかなんて分からんけど

扉を開けてみたい


過去を振り返っとる余裕はないけど

今までの全てを背負って突き進むぐらいの力は持っとるので心配いらんよ



ワンマン終了後、楽屋でカメラをまわす相棒と二人きりになった

そのおっさんの涙が全てを語ってくれた気がした