最近 台湾公開リーディングの続きはどうなりました?と
何人かのお客様からお声をいただき
こんなものを楽しみにしてくださった方がいらっしゃったことに
少しびっくりしております
(てっきり皆さん呆れていると思っておりました・・・滝汗)
てなわけで 久方ぶりですが 続きです

台湾公開リーディングシリーズは
カテゴリーの「スピ的台湾」をごらんくださいませ(上:翌日深夜の夜市)
ひととおり 祓い 清め 平らかにする「踊り」を終わった私は
急速に「光」から離脱していく
おそらく私の瞳からは
最早 先ほどあったような
一種独特の炯炯とした輝きは失せ
疲れた顔をしていることだろう
ここにいるのは
いまやただの中年の日本女に過ぎなかった
この肉の体のもつ重みに
重力がみしみしと力を添えて
自分が肉の檻へと
再び囚われたことを思い知らされる
私は屋台の椅子に転がりこんで
ぐいと 机の上の台湾ビールを飲み干した
そう ずしりと肩に食い込むような
この疲労感をぬぐうために
「ハヌルさん」
唐突に女史の声がした
もう気を使うのも大儀なほど
私は疲れていた
慣れぬ異国
最早朝に近いような深夜の路地
言葉も分からぬ人たち
生ぬるいむうっとした空気
どこからか聞こえてくる争うような男たちの声
時折通り過ぎるミニバイクのエンジン音
明滅している自動販売機
そのどれもこれもが
今の私には
ただただ 疲労を感じさせていた
億劫な気持ちをひた隠しにして
私は無理やり笑顔を張り付かせ
声の方へ顔を向ける
林さんと取り囲む男達が
わあわあと何かを騒いで
女史と言い合っている
その声は 疲れきった私の耳には
まるで はるかな遠雷の轟きのように
意味のないごおごおとした音のように聞こえていた
「ハヌルさん 明日もう一度ココ来てくだサイ」
ぼおっと見つめる私に
女史は強い口調でもう一度こう言った
「夜23時 もう一度ココ来てくだサイ」
机の上の焼き鳥はすっかり冷めていた
「この人タチ みんな整体の先生デス
明日 アナタお礼に 全身矯正してあげマスと言ってマス」
全身・・・
台湾に来て既に一週間以上が過ぎて
確かに普通に疲れも溜まっている
どこかで整体を受けてみたいと思ってはいたものの
いったいどこにいけばいいのか
見当がつかずにいた私には
とても有り難い申し出ではあった
何しろ 本場台北
少し歩けば整体だのマッサージだの
山ほどあるのだ
「このヒト社長サンネ 社長サンお礼したいって」
まるで北朝鮮の工作員のような見てくれをした
痩せぎすの男性を指指すと
女史はこう続けた
「林サン 社長サンのお店のヒトネ
だから社長お礼するそうデス」
なんで 社長さんが?
「アナタ本当のタンキーだからデス」
本当の・・・?
「林サン アナタのおかげで
体が軽くなったそうデス
寒かったの治りましたネ
だから 明日 必ずココ来て」
私の前にはいつのまにか
さっき社長だと教えられた男が
わずかに残った屋台から
温かい台湾式の汁蕎麦や
焼きたての串
そして冷え冷えの台湾ビールなど
すべて新たに買いなおして並べてくれていた
そして 名前もわからぬ男達は
にこにこと無邪気に私に笑いかけながら
料理をあれもこれもと盛り付けてくれる
「明日 絶対来てくだサイ」
警戒心が無いわけではなかったけれど
彼らの表情の中に
私への畏れがあるのを私は感じていた
「みんでぃん うぉー つぁいらい」
地面を指差しながら
たぶん伝わらないだろう へたくそな中国語もどきをつぶやく
明天 我 再来
笑いながら 明日ネと言う女史の向こうで
林さんはひどく真剣な瞳をして
何かを考えているかのように私を見つめていたのだった
(公開リーディング シャオイェン偏に続く)
※林さんの祓いの詳細部分に関しては
敢えてふせさせていただいております
何人かのお客様からお声をいただき
こんなものを楽しみにしてくださった方がいらっしゃったことに
少しびっくりしております
(てっきり皆さん呆れていると思っておりました・・・滝汗)
てなわけで 久方ぶりですが 続きです

台湾公開リーディングシリーズは
カテゴリーの「スピ的台湾」をごらんくださいませ(上:翌日深夜の夜市)
ひととおり 祓い 清め 平らかにする「踊り」を終わった私は
急速に「光」から離脱していく
おそらく私の瞳からは
最早 先ほどあったような
一種独特の炯炯とした輝きは失せ
疲れた顔をしていることだろう
ここにいるのは
いまやただの中年の日本女に過ぎなかった
この肉の体のもつ重みに
重力がみしみしと力を添えて
自分が肉の檻へと
再び囚われたことを思い知らされる
私は屋台の椅子に転がりこんで
ぐいと 机の上の台湾ビールを飲み干した
そう ずしりと肩に食い込むような
この疲労感をぬぐうために
「ハヌルさん」
唐突に女史の声がした
もう気を使うのも大儀なほど
私は疲れていた
慣れぬ異国
最早朝に近いような深夜の路地
言葉も分からぬ人たち
生ぬるいむうっとした空気
どこからか聞こえてくる争うような男たちの声
時折通り過ぎるミニバイクのエンジン音
明滅している自動販売機
そのどれもこれもが
今の私には
ただただ 疲労を感じさせていた
億劫な気持ちをひた隠しにして
私は無理やり笑顔を張り付かせ
声の方へ顔を向ける
林さんと取り囲む男達が
わあわあと何かを騒いで
女史と言い合っている
その声は 疲れきった私の耳には
まるで はるかな遠雷の轟きのように
意味のないごおごおとした音のように聞こえていた
「ハヌルさん 明日もう一度ココ来てくだサイ」
ぼおっと見つめる私に
女史は強い口調でもう一度こう言った
「夜23時 もう一度ココ来てくだサイ」
机の上の焼き鳥はすっかり冷めていた
「この人タチ みんな整体の先生デス
明日 アナタお礼に 全身矯正してあげマスと言ってマス」
全身・・・
台湾に来て既に一週間以上が過ぎて
確かに普通に疲れも溜まっている
どこかで整体を受けてみたいと思ってはいたものの
いったいどこにいけばいいのか
見当がつかずにいた私には
とても有り難い申し出ではあった
何しろ 本場台北
少し歩けば整体だのマッサージだの
山ほどあるのだ
「このヒト社長サンネ 社長サンお礼したいって」
まるで北朝鮮の工作員のような見てくれをした
痩せぎすの男性を指指すと
女史はこう続けた
「林サン 社長サンのお店のヒトネ
だから社長お礼するそうデス」
なんで 社長さんが?
「アナタ本当のタンキーだからデス」
本当の・・・?
「林サン アナタのおかげで
体が軽くなったそうデス
寒かったの治りましたネ
だから 明日 必ずココ来て」
私の前にはいつのまにか
さっき社長だと教えられた男が
わずかに残った屋台から
温かい台湾式の汁蕎麦や
焼きたての串
そして冷え冷えの台湾ビールなど
すべて新たに買いなおして並べてくれていた
そして 名前もわからぬ男達は
にこにこと無邪気に私に笑いかけながら
料理をあれもこれもと盛り付けてくれる
「明日 絶対来てくだサイ」
警戒心が無いわけではなかったけれど
彼らの表情の中に
私への畏れがあるのを私は感じていた
「みんでぃん うぉー つぁいらい」
地面を指差しながら
たぶん伝わらないだろう へたくそな中国語もどきをつぶやく
明天 我 再来
笑いながら 明日ネと言う女史の向こうで
林さんはひどく真剣な瞳をして
何かを考えているかのように私を見つめていたのだった
(公開リーディング シャオイェン偏に続く)
※林さんの祓いの詳細部分に関しては
敢えてふせさせていただいております