コメントでゆか19xxさんにリクエストをいただいたので
ちょっと調子のって書くことにした私と祖父のお話。
まず本題に入る前に少し長い前置きとして
当時の私の環境からお話したい
今から15~6年前のこと
私は名古屋のあるアパートで一人暮らしをしていた
そこは古い住宅地の中にある
築20年ほどのアパートだったのだが
当時絵を書く趣味があったので
そのための場所が必要だったことと
300坪の家で育ったせいなのか
寝る部屋とテレビを見る部屋と食事をする部屋は
それぞれ別でなければ
なんとなく気持ちが悪かったのだ
つまりはとにかく広さと
家賃の兼ね合いの結果そこに住んでいた
しかしこの部屋は東南の角部屋で
日当たりもよくベランダも広い上に
2階建ての2階であり
名古屋の繁華街である栄にも目と鼻の先
その上 和6・和6・DK10のフロトイレはセパレート
もちろん追い炊き機能あり
なのに家賃は驚きの3万3千円
さらに駐車場が2000円でついてきた
いくら15年前といっても
まずありえない物件だ
しかも1件目の不動産屋に出された
最初の物件でこれだったので
もうこれ以上の好条件はないだろうと
他を見ることもなく決めてしまった
実際 この部屋の真向かいのマンションは
5畳のワンルームで家賃は7、8万だったから
いかに格安だったかが想像していただけるだろうか
ちなみにご存知ない方のために書き添えるが
栄というところは東京で言えば
新宿と渋谷を足して2で割ったようなところ
とでもいえば分かりやすいだろうか
引越しは殆ど一人で行った
とはいえ荷物らしい荷物はなかったのだが
母親は一度だけこの部屋を覗いてこういった
「・・・なんだか暗い部屋だね」
実は私もそう思っていた
けれどやっと引越しが終わった夕暮れのこと
ケチをつけられたような気がした私は
日が暮れたせいだろうと答えた
何しろここは東南角部屋日当たり良好
暗いはずがないのだから
改めてこの部屋へ住むために訪れたのは
それから10日ほどあとのことだった
その夜大学時代の連れが
引越しのお祝いに訪れてくれたのだが
何故だか私は具合が悪かった
具合の悪さはどんどんひどくなり
なんとそのまま40度近くの熱が出た
おかげでお祝いどころか友人は
看病の為に泊り込むはめとなった
熱はそのまま10日以上も続き
なにも考えられないまま
ひたすら寝続けていた
その時私は
これがその後に始まるあの日々の始まりだとは
まだ知る由もなかった
そう この部屋は私の友人の間では
その後伝説となって語り継がれているらしい
みんなはこの部屋をこう名づけた
「お化け屋敷」と
さてようやく本題に入ることとしよう
それはこの部屋に住み始めて
2年たった有る日のことだった
その頃の私は毎朝毎朝
同じ時刻に何かに起こされていた
眠っているのに突然はっとして目が覚める
そして枕元の時計を見ると
決まってその時刻は早朝4時05分
時計を見終わると必ず耳鳴りが始まり
私は金縛りに襲われるのがお決まりだった
既にこの現象が始まってから
1週間程たっていて
連日のことにもはや恐怖などなく
ただ眠いということしかなかった
当時の私は睡眠中に
やたらにいろんなものにおこされた挙句
金縛りに襲われるので
元々不眠症の私は
ただでさえ短い睡眠時間が
さらに強制的に削られていて
相当イライラしていたのだ
その日もいつものように起こされた
時計を見るとやはり4時05分
あぁまた今日も起こされた と
私はかなりイライラしながら
襲ってくるはずの耳鳴りに耳を澄ます
するとなんだかいつもとは様子が違う音がしていた
(何か聞こえていたのだが 申し訳ないことに
記憶が風化しているので覚えていない)
しかも布団に仰向けに寝ている私の目には
木目の天井が写るはずなのだが
何故だか変に白っぽく見える
もっと正確にいうのなら
木目模様の天井に
白い大きななにか空間のようなものがあるのだ
変だなぁとぼーっと眺めていると
その白い空間の高い奥のほうに何かが動いている
あれ? おかしいなぁ・・
うちの天井こんなに高くないぞ
あれぇ??
まるでどこかの空間とつながっているようだった
その高い高い白い空の高いところで動いているそれは
少しずつ横になっている私へと降りてきていた
見つめているうちにだんだんとそれは
ぐるぐると回る黒い輪っかのように見えはじめた
そして近づくにつれて途中で私は
輪に見えているのは実は
科学忍者隊ガッチャマンが降りてくるときのように
くるくると手を繋ぎ合って回りながら降下してくる
人影だと気がついた
私から見ると逆光ように後ろ(上方)が光っていて
私の方に向いているはずの顔も姿も黒い影としか見えないが
それでも明らかにそれは人影だったのだ
そしてそれを見ている私は
非常に冷静で落ち着いていた
次の一瞬にはその影たちは
私の布団の足元に立っていた
そしてそこにはなんと
私の亡くなった母方の祖父がいたのである
祖父だけが一歩前に出ていて
何か白いようなグレーのような布を身につけていた
他の何人もの人々はみな相変わらず影のように
人らしいということしか
私の目には見えないのだが
祖父の後ろにつき従うかのように
列をなして並んでいた
今考えてみると布団の足元ということは
体を起こさないと見えないはずなのだが
何故か私は仰向けに横になったまま
その情景を見ていたことになる
さすがの私も祖父の顔を見た瞬間は
あっと驚いた
しかし祖父は生前私に見せていた顔とは違い
随分と厳しい表情をしていて
まさに軍人然とした感じだった
亡くなる頃はげっそりと
ミイラのようにやせ細っていたはずが
目の前の祖父はまるで50~60代の頃の
肉体自慢であった当時を思わせる
いや 顔立ちや肉体の感じは確かにそうなのだけれど
実際はまるで青年のような壮年のような
年齢不詳の雰囲気を漂わせており
そのあまりに厳しい表情といい
見たこともない妙な衣装といい
まるで別人のようだった
けれど どこからどうみても確かにこれは
私が12のときに亡くなったあの祖父なのだ
そして祖父は
横になった私を見据えながら語り始めた
しかし不思議なことに
その口は動いていなかった
動いていないのに
私には祖父の声が聞こえていた
祖父は私を叱咤しに訪れていたのだった
「お前はこのままでは駄目だ
本当はお前はおじいちゃんと
同じところへ来ることになっているのに
今の生活のままではもう来ることが出来なくなるぞ
こんな生活をしていてはいけない
生活をいますぐに改めるのだ
そうしないとお前は二度と
おじいちゃんと同じところへは来れなくなるのだぞ」
同じところって・・・なんだ??
私が思った瞬間 祖父は
まるで心を読んだかのように答えた
「おじいちゃんのいるところは特別なところだ
わしらのいるところは普通ではいくところではない」
話をまとめてみると
祖父は詳しくは語らなかったが
亡くなった後人は
いろいろな階層に分かれて管理の仕事をするらしい
後にこれまた再会することとなった
父方の祖父は一般的な人がする階層管理の仕事をしていたのだが
この母方の祖父は父方の祖父と比べると
もっとより大きな部門管理とでもいうべき階層にいるらしかった
それは物質的存在全てを包括する管理者の集団のようなもので
祖父のいる階層は普通
「人」の意識状態からはつくことのない階層らしかった
後ろにいる影のような人々も
祖父と同じ存在で
私の矮小な意識では認知できず影としか見えないようだった
祖父は繰り返し繰り返し
くどくどと告げた
「改めよ 自分の生活を改めよ
お前はこのままでは来られなくなるのだ」
しかし私は
これは一帯なんの茶番なんだ?と思っていた
特別の存在だのなんだの
そういう選民意識は私とは相容れないものだった
祖父のことは大好きだったし
今ここで叱っている祖父も
恐らく大好きだった祖父なんだろうことは分かる
けれど「同じところへこれないから改めよ」などと言われても
なんだか嫌だなぁと思った
もともと私は
上昇するとか人より秀でるとか
そういうことにたいして拒否感がひどかった
今話している祖父は
あまりにも威厳がありすぎて
どうにも受け付けがたかった
私は はいはい と 生返事をした
やがて 外で小鳥が鳴き始めた
朝がきたのだ
祖父と影たちはまた気がつくと
くるくると手を繋ぎ輪になって
そのまま天井にあいた白い空の高みへと消えていった
目の前にはいつもと変わらぬ木目の天井
ふと時計に目をやると
20分ほどたっていた
すっかり目が覚めていた私は今の出来事を
夢だということにしよう
そう決めて 出勤時間までの暇つぶしに
朝フロにはいることにした
その頃私は毎日怪異に襲われていたので
いちいち考えるのが面倒になっていたのだった
そしてすぐに忘れてしまった
それから1週間後
まさかまた祖父がやってくるなどと
その時は思いもしなかった
ちょっと調子のって書くことにした私と祖父のお話。
まず本題に入る前に少し長い前置きとして
当時の私の環境からお話したい
今から15~6年前のこと
私は名古屋のあるアパートで一人暮らしをしていた
そこは古い住宅地の中にある
築20年ほどのアパートだったのだが
当時絵を書く趣味があったので
そのための場所が必要だったことと
300坪の家で育ったせいなのか
寝る部屋とテレビを見る部屋と食事をする部屋は
それぞれ別でなければ
なんとなく気持ちが悪かったのだ
つまりはとにかく広さと
家賃の兼ね合いの結果そこに住んでいた
しかしこの部屋は東南の角部屋で
日当たりもよくベランダも広い上に
2階建ての2階であり
名古屋の繁華街である栄にも目と鼻の先
その上 和6・和6・DK10のフロトイレはセパレート
もちろん追い炊き機能あり
なのに家賃は驚きの3万3千円
さらに駐車場が2000円でついてきた
いくら15年前といっても
まずありえない物件だ
しかも1件目の不動産屋に出された
最初の物件でこれだったので
もうこれ以上の好条件はないだろうと
他を見ることもなく決めてしまった
実際 この部屋の真向かいのマンションは
5畳のワンルームで家賃は7、8万だったから
いかに格安だったかが想像していただけるだろうか
ちなみにご存知ない方のために書き添えるが
栄というところは東京で言えば
新宿と渋谷を足して2で割ったようなところ
とでもいえば分かりやすいだろうか
引越しは殆ど一人で行った
とはいえ荷物らしい荷物はなかったのだが
母親は一度だけこの部屋を覗いてこういった
「・・・なんだか暗い部屋だね」
実は私もそう思っていた
けれどやっと引越しが終わった夕暮れのこと
ケチをつけられたような気がした私は
日が暮れたせいだろうと答えた
何しろここは東南角部屋日当たり良好
暗いはずがないのだから
改めてこの部屋へ住むために訪れたのは
それから10日ほどあとのことだった
その夜大学時代の連れが
引越しのお祝いに訪れてくれたのだが
何故だか私は具合が悪かった
具合の悪さはどんどんひどくなり
なんとそのまま40度近くの熱が出た
おかげでお祝いどころか友人は
看病の為に泊り込むはめとなった
熱はそのまま10日以上も続き
なにも考えられないまま
ひたすら寝続けていた
その時私は
これがその後に始まるあの日々の始まりだとは
まだ知る由もなかった
そう この部屋は私の友人の間では
その後伝説となって語り継がれているらしい
みんなはこの部屋をこう名づけた
「お化け屋敷」と
さてようやく本題に入ることとしよう
それはこの部屋に住み始めて
2年たった有る日のことだった
その頃の私は毎朝毎朝
同じ時刻に何かに起こされていた
眠っているのに突然はっとして目が覚める
そして枕元の時計を見ると
決まってその時刻は早朝4時05分
時計を見終わると必ず耳鳴りが始まり
私は金縛りに襲われるのがお決まりだった
既にこの現象が始まってから
1週間程たっていて
連日のことにもはや恐怖などなく
ただ眠いということしかなかった
当時の私は睡眠中に
やたらにいろんなものにおこされた挙句
金縛りに襲われるので
元々不眠症の私は
ただでさえ短い睡眠時間が
さらに強制的に削られていて
相当イライラしていたのだ
その日もいつものように起こされた
時計を見るとやはり4時05分
あぁまた今日も起こされた と
私はかなりイライラしながら
襲ってくるはずの耳鳴りに耳を澄ます
するとなんだかいつもとは様子が違う音がしていた
(何か聞こえていたのだが 申し訳ないことに
記憶が風化しているので覚えていない)
しかも布団に仰向けに寝ている私の目には
木目の天井が写るはずなのだが
何故だか変に白っぽく見える
もっと正確にいうのなら
木目模様の天井に
白い大きななにか空間のようなものがあるのだ
変だなぁとぼーっと眺めていると
その白い空間の高い奥のほうに何かが動いている
あれ? おかしいなぁ・・
うちの天井こんなに高くないぞ
あれぇ??
まるでどこかの空間とつながっているようだった
その高い高い白い空の高いところで動いているそれは
少しずつ横になっている私へと降りてきていた
見つめているうちにだんだんとそれは
ぐるぐると回る黒い輪っかのように見えはじめた
そして近づくにつれて途中で私は
輪に見えているのは実は
科学忍者隊ガッチャマンが降りてくるときのように
くるくると手を繋ぎ合って回りながら降下してくる
人影だと気がついた
私から見ると逆光ように後ろ(上方)が光っていて
私の方に向いているはずの顔も姿も黒い影としか見えないが
それでも明らかにそれは人影だったのだ
そしてそれを見ている私は
非常に冷静で落ち着いていた
次の一瞬にはその影たちは
私の布団の足元に立っていた
そしてそこにはなんと
私の亡くなった母方の祖父がいたのである
祖父だけが一歩前に出ていて
何か白いようなグレーのような布を身につけていた
他の何人もの人々はみな相変わらず影のように
人らしいということしか
私の目には見えないのだが
祖父の後ろにつき従うかのように
列をなして並んでいた
今考えてみると布団の足元ということは
体を起こさないと見えないはずなのだが
何故か私は仰向けに横になったまま
その情景を見ていたことになる
さすがの私も祖父の顔を見た瞬間は
あっと驚いた
しかし祖父は生前私に見せていた顔とは違い
随分と厳しい表情をしていて
まさに軍人然とした感じだった
亡くなる頃はげっそりと
ミイラのようにやせ細っていたはずが
目の前の祖父はまるで50~60代の頃の
肉体自慢であった当時を思わせる
いや 顔立ちや肉体の感じは確かにそうなのだけれど
実際はまるで青年のような壮年のような
年齢不詳の雰囲気を漂わせており
そのあまりに厳しい表情といい
見たこともない妙な衣装といい
まるで別人のようだった
けれど どこからどうみても確かにこれは
私が12のときに亡くなったあの祖父なのだ
そして祖父は
横になった私を見据えながら語り始めた
しかし不思議なことに
その口は動いていなかった
動いていないのに
私には祖父の声が聞こえていた
祖父は私を叱咤しに訪れていたのだった
「お前はこのままでは駄目だ
本当はお前はおじいちゃんと
同じところへ来ることになっているのに
今の生活のままではもう来ることが出来なくなるぞ
こんな生活をしていてはいけない
生活をいますぐに改めるのだ
そうしないとお前は二度と
おじいちゃんと同じところへは来れなくなるのだぞ」
同じところって・・・なんだ??
私が思った瞬間 祖父は
まるで心を読んだかのように答えた
「おじいちゃんのいるところは特別なところだ
わしらのいるところは普通ではいくところではない」
話をまとめてみると
祖父は詳しくは語らなかったが
亡くなった後人は
いろいろな階層に分かれて管理の仕事をするらしい
後にこれまた再会することとなった
父方の祖父は一般的な人がする階層管理の仕事をしていたのだが
この母方の祖父は父方の祖父と比べると
もっとより大きな部門管理とでもいうべき階層にいるらしかった
それは物質的存在全てを包括する管理者の集団のようなもので
祖父のいる階層は普通
「人」の意識状態からはつくことのない階層らしかった
後ろにいる影のような人々も
祖父と同じ存在で
私の矮小な意識では認知できず影としか見えないようだった
祖父は繰り返し繰り返し
くどくどと告げた
「改めよ 自分の生活を改めよ
お前はこのままでは来られなくなるのだ」
しかし私は
これは一帯なんの茶番なんだ?と思っていた
特別の存在だのなんだの
そういう選民意識は私とは相容れないものだった
祖父のことは大好きだったし
今ここで叱っている祖父も
恐らく大好きだった祖父なんだろうことは分かる
けれど「同じところへこれないから改めよ」などと言われても
なんだか嫌だなぁと思った
もともと私は
上昇するとか人より秀でるとか
そういうことにたいして拒否感がひどかった
今話している祖父は
あまりにも威厳がありすぎて
どうにも受け付けがたかった
私は はいはい と 生返事をした
やがて 外で小鳥が鳴き始めた
朝がきたのだ
祖父と影たちはまた気がつくと
くるくると手を繋ぎ輪になって
そのまま天井にあいた白い空の高みへと消えていった
目の前にはいつもと変わらぬ木目の天井
ふと時計に目をやると
20分ほどたっていた
すっかり目が覚めていた私は今の出来事を
夢だということにしよう
そう決めて 出勤時間までの暇つぶしに
朝フロにはいることにした
その頃私は毎日怪異に襲われていたので
いちいち考えるのが面倒になっていたのだった
そしてすぐに忘れてしまった
それから1週間後
まさかまた祖父がやってくるなどと
その時は思いもしなかった