今日のお昼のこと
セッションの待ち合わせに少し遅れそうで
私は車を急いで走らせていた
いつもセッションに向かう時と同じに
車内は外界と隔絶するように
大爆音でCDを流していた
その中で私はいろんな波動を感じながら
機械的に車を飛ばしていく
意識は半分しかこの体にないような
薄い思考の中で私は
ふと何かに目が留まった
それは一人のおばあさんだった
そのとき私が走っていた道沿いには
あちこちでみかけるような郊外型の
大きなドラッグストアがあり
その駐車場の入り口 つまり
道に接した部分に
一人のおばあさんが中腰になって立っている
片方の手には 畑で摘んできたのか
いくつかの首の長い花を持っていた
このあたりでは
さして珍しくもないような
なんでもない普通のおばあさんだ
恐らくこの近所の方で
近くの自分の畑で花でも摘まれたのだろう
しかし 何故か私は胸騒ぎがした
そのまま車を一度は走らせたものの
どうにも嫌な気がしてならなかった
しかし待ち合わせの時間はもう直である
私は迷った
迷いながらも
あの人危険な気がする と思う
この自分の気持ちは
もう押さえることは出来なかった
そのまま車を急回転させて
私は先ほどのドラッグストアへと急発進させた
通り過ぎて3分もたたない
戻った時間を入れても5分ほどのことだ
なんでもなければ
もうおいでにならないに違いない
そう思った瞬間
まだ そのおばあさんはそこにいた
しかも この炎天下の道路脇で
殆ど倒れるようにうずくまっていたのだ
私はそれを見るや否や
急いで駐車場に車を乗り捨て
駆け寄った
「おばあさん! 大丈夫ですか?!」
一目でこれはいけないと思った
おばあさんは既に意識が朦朧としていて
私の声に力ない声をあげ
なんとか答えようとしているのだが
ふと見ると
その下のアスファルトが真っ黒に濡れている
どうやら失禁されているようだった
「し・・・しんどくて 歩けへんのやわ・・」
おばあさんにすぐ戻るから安心してと声をかけ
私はそのまま店に走りこみ事情を話し
とにかく緊急を要すると思うので
お店の中へ運び込ませて欲しいということと
恐らく歩くのが困難なので
私と一緒に男の方に着て欲しいと頼み込んだ
すると男性の薬剤師さんが
二人すぐに飛び出してきてくださった
私はその二人とともに
おばあさんのもとへ駆け戻ると
おばあさんは完全に倒れこんでしまっていた
どうにか店の中へお連れするも
やはり様子がおかしいので
救急車を呼ぶことになったのだが
私はそこではたと
セッションのことを思い出した
この時点で既に待ち合わせに
20分ほど遅れていたのだ
付き添いを店の方にお願いをして
私は急いでクライアントさんに連絡をし
車へ飛び乗った
急いで車を走らせながら
駐車場にいたたくさんの
あの買い物客たちのことを思い出していた
誰一人としてあのおばあさんのことは
目に入らなかったのだろうか
そんなはずはない
車の出入り口においでになったのだ
道路を行きかう車の一台も
おばあさんがおかしいと気がつかなかったのだろうか
そんなはず ない だろう
そんなはず は ない のだ
何故なら私が見たのはほんの瞬間だけ
それも急いで運転している車の中からなのだから
あの ほんの一瞬目にした私がこうして
駆け戻ってきているのに
何故 誰も 気がつかないのか
私は馬鹿なのだろうか
声をかけて何でもなければ
そのまま行けばよいだけのことだ
それだけのことなのに
誰一人として
あのおばあさんに目をむけることはなかった
何故か 私は自分が馬鹿なのかおかしいのかと
一人自問自答しはじめていた
急ぐ車の中でふと思う
ああ これが スピリチュアルだ
遠くの悲しい出来事に手が届かなくても
目の前にはいつも困っている人がきっといる
目の前でこうして信号を出すひとが
現実にいるのだから・・・
その時に私は私に出来るだけのことをしよう
それが私の「スピリチュアル」なんだ
遅れてきた私を
クライアントのMさんは許してくださった
今日のクライアントさんが
常連のお客様であり
こういう私の一方的な事情を
好意的に理解してくださり
とてもとても助かった
本来ならば連絡もなく
このように遅れるとは
決してあるまじき行為なのだから
袖すりあうも他生の縁
あのおばあさんは今夜はどうされただろうか
涼しい夜風に疲れた体を休めておいでなのだろうか
星の見えないこの夜に
ひとつだけ光るあの星をみながら
考えにふける私の夜は過ぎていく
セッションの待ち合わせに少し遅れそうで
私は車を急いで走らせていた
いつもセッションに向かう時と同じに
車内は外界と隔絶するように
大爆音でCDを流していた
その中で私はいろんな波動を感じながら
機械的に車を飛ばしていく
意識は半分しかこの体にないような
薄い思考の中で私は
ふと何かに目が留まった
それは一人のおばあさんだった
そのとき私が走っていた道沿いには
あちこちでみかけるような郊外型の
大きなドラッグストアがあり
その駐車場の入り口 つまり
道に接した部分に
一人のおばあさんが中腰になって立っている
片方の手には 畑で摘んできたのか
いくつかの首の長い花を持っていた
このあたりでは
さして珍しくもないような
なんでもない普通のおばあさんだ
恐らくこの近所の方で
近くの自分の畑で花でも摘まれたのだろう
しかし 何故か私は胸騒ぎがした
そのまま車を一度は走らせたものの
どうにも嫌な気がしてならなかった
しかし待ち合わせの時間はもう直である
私は迷った
迷いながらも
あの人危険な気がする と思う
この自分の気持ちは
もう押さえることは出来なかった
そのまま車を急回転させて
私は先ほどのドラッグストアへと急発進させた
通り過ぎて3分もたたない
戻った時間を入れても5分ほどのことだ
なんでもなければ
もうおいでにならないに違いない
そう思った瞬間
まだ そのおばあさんはそこにいた
しかも この炎天下の道路脇で
殆ど倒れるようにうずくまっていたのだ
私はそれを見るや否や
急いで駐車場に車を乗り捨て
駆け寄った
「おばあさん! 大丈夫ですか?!」
一目でこれはいけないと思った
おばあさんは既に意識が朦朧としていて
私の声に力ない声をあげ
なんとか答えようとしているのだが
ふと見ると
その下のアスファルトが真っ黒に濡れている
どうやら失禁されているようだった
「し・・・しんどくて 歩けへんのやわ・・」
おばあさんにすぐ戻るから安心してと声をかけ
私はそのまま店に走りこみ事情を話し
とにかく緊急を要すると思うので
お店の中へ運び込ませて欲しいということと
恐らく歩くのが困難なので
私と一緒に男の方に着て欲しいと頼み込んだ
すると男性の薬剤師さんが
二人すぐに飛び出してきてくださった
私はその二人とともに
おばあさんのもとへ駆け戻ると
おばあさんは完全に倒れこんでしまっていた
どうにか店の中へお連れするも
やはり様子がおかしいので
救急車を呼ぶことになったのだが
私はそこではたと
セッションのことを思い出した
この時点で既に待ち合わせに
20分ほど遅れていたのだ
付き添いを店の方にお願いをして
私は急いでクライアントさんに連絡をし
車へ飛び乗った
急いで車を走らせながら
駐車場にいたたくさんの
あの買い物客たちのことを思い出していた
誰一人としてあのおばあさんのことは
目に入らなかったのだろうか
そんなはずはない
車の出入り口においでになったのだ
道路を行きかう車の一台も
おばあさんがおかしいと気がつかなかったのだろうか
そんなはず ない だろう
そんなはず は ない のだ
何故なら私が見たのはほんの瞬間だけ
それも急いで運転している車の中からなのだから
あの ほんの一瞬目にした私がこうして
駆け戻ってきているのに
何故 誰も 気がつかないのか
私は馬鹿なのだろうか
声をかけて何でもなければ
そのまま行けばよいだけのことだ
それだけのことなのに
誰一人として
あのおばあさんに目をむけることはなかった
何故か 私は自分が馬鹿なのかおかしいのかと
一人自問自答しはじめていた
急ぐ車の中でふと思う
ああ これが スピリチュアルだ
遠くの悲しい出来事に手が届かなくても
目の前にはいつも困っている人がきっといる
目の前でこうして信号を出すひとが
現実にいるのだから・・・
その時に私は私に出来るだけのことをしよう
それが私の「スピリチュアル」なんだ
遅れてきた私を
クライアントのMさんは許してくださった
今日のクライアントさんが
常連のお客様であり
こういう私の一方的な事情を
好意的に理解してくださり
とてもとても助かった
本来ならば連絡もなく
このように遅れるとは
決してあるまじき行為なのだから
袖すりあうも他生の縁
あのおばあさんは今夜はどうされただろうか
涼しい夜風に疲れた体を休めておいでなのだろうか
星の見えないこの夜に
ひとつだけ光るあの星をみながら
考えにふける私の夜は過ぎていく