深夜 ひさしぶりにチャットをした
滅多にチャットはしないけど
それでも考え事が多すぎて眠れない夜には
誰かと何でもいいから話をしたくなる
入った部屋は 二ヶ月に一度くらい入る部屋
その名は 「依存者」
ここは いろんな依存や嗜癖の人々が溜まっているところ
その夜そこにいたのは
薬物依存でいま退薬中のひとたち
顔なじみである部屋主と私も
薬物依存から自力で抜け出したサバイバーだから
彼らの気持ちは手にとるように分かる気がする
抗精神薬やSSRIなんかの依存から抜けるのは
相当に苦しいことで
服用していた月日が長いほど減ずるのに時間がかかるものだ
ましてドーパミン系から自分の意志だけで
一気に断薬するのは普通は自殺行為に近い
死んだほうがマシだといわれるほどの恐ろしい離脱症状に
たいていの人は耐え切れず
実際に自殺してしまったりするからだ
死なずとも それは時に
脳細胞を破壊してしまうとも言われている行為
しかし私は それを自分の意思だけで終わらせたひとりだ
精神の薬の離脱症状は
あまり一般に知られていない気がするけれど
私の場合もそれは凄まじいものだった
薬が切れ始めたた途端
脱水層で生きながらに脱水をかけられているような眩暈
激しく割れ鐘を打ち鳴らし続けるような轟きに
パチンコ台を強制的に開いたような警告音が
24時間頭の中を鳴り響く
胃液もでなくなっても終わらない吐き気
頭蓋骨がふっとぶのではないかと思うような頭痛
全身の関節はばらばらになりそうに痛み
がたがたと震えるほどの寒気と冷や汗
延々と続く幻覚と幻聴で 一睡もできない中で
終わらぬ悪夢のロンドに閉じ込められているかのようだった
けれど一番苦しかったのは心
それは何かわからぬ黒い絶対的な存在からの
『死ななければならないのだ』という
拒絶を許さぬ命令を拒否することだった
その命令はあまりに巨大な存在からの強力な指令であり
私は悶えながらも頭の隅で
キリストが退けた荒野の悪魔とは
もしかしてこのようなものではないかと
考えていたほどだ
この強い「意思の力」から逃れることは
肉体的な苦しさよりもより苦しく
声にならぬ私の絶叫は行き場を求めて荒れ狂った
そしてその荒れ狂うエネルギーは
体中を切り刻むという形での放出を望んだけれど
私は ただ 部屋の真中で
すべて何もかもを「自らの意思」で押さえ込み
そっと膝を抱え座り込んでいるだけだった
あの苦しみの日を私は幸いだと思っている
それより以前の私は
人の世の苦しみをある程度知っているつもりでいたからだ
かつて私は非合法な薬物や酒など
さまざまなものに関わってきたけれど
そのどれもをいともたやすく手放すことが出来た
そう 自分の意志が
これほどに肉体に翻弄されるということを
心は身体の奴隷なのだということを
知らずに生きてきたのだ
たいていの人は
痛いことや苦しいことから逃げ出したい
私だってもちろんそうだ
けれど 逃げ出したくとも逃げ出せない心の弱さ
それがどういうことなのか
実体験をするまで私には本当には分かっていなかったのだ
なんという傲慢だ
私が ひとりで抜け出せたのは
たぶん 偶然だった
もう一度 人間としてこの世界の正面に向かおうという
ただその気持ちだけが
人間としてこの世にあるのだという「意思」だけが
私を離脱という悪魔から引き剥がすことができた
けれど それは たぶん 偶然なのだ
ひとつはっきりしたことは
私は薬を飲んでいようが
このミエナイ世界を観ることに関しては
まったく何も影響を受けることがないということだ
私はこの嵐の中で
かなりの人数のセッションを実際に行っており
その結果は服薬していないときと
なんら変ることがなかったのである
それどころか
私のその様を見ていた友人によれば
私が「世界」を観はじめると途端に
神がかり独特の芯のある顔に変化していたのだそうだ
もちろん 私を取り囲む空気も一変し
その変化の様は まさに
瞬時の変身とでもいえそうなものだったらしい
それを知ることができたことも
私にとっては大きな意味があった
この機会を与えられた幸せに
感謝の意を示したいと思う
-----------------------------------終
【警告!】
この日記は自己判断の断薬を勧めるものではありません
自己判断での断薬は非常に危険な行為であり
脳細胞の破壊及び病状の悪化
さらには死を招きかねない行為であることをご理解ください
減薬ももちろん 医師の指導の元に行われるべきものです
必ず主治医との相談をしてください
滅多にチャットはしないけど
それでも考え事が多すぎて眠れない夜には
誰かと何でもいいから話をしたくなる
入った部屋は 二ヶ月に一度くらい入る部屋
その名は 「依存者」
ここは いろんな依存や嗜癖の人々が溜まっているところ
その夜そこにいたのは
薬物依存でいま退薬中のひとたち
顔なじみである部屋主と私も
薬物依存から自力で抜け出したサバイバーだから
彼らの気持ちは手にとるように分かる気がする
抗精神薬やSSRIなんかの依存から抜けるのは
相当に苦しいことで
服用していた月日が長いほど減ずるのに時間がかかるものだ
ましてドーパミン系から自分の意志だけで
一気に断薬するのは普通は自殺行為に近い
死んだほうがマシだといわれるほどの恐ろしい離脱症状に
たいていの人は耐え切れず
実際に自殺してしまったりするからだ
死なずとも それは時に
脳細胞を破壊してしまうとも言われている行為
しかし私は それを自分の意思だけで終わらせたひとりだ
精神の薬の離脱症状は
あまり一般に知られていない気がするけれど
私の場合もそれは凄まじいものだった
薬が切れ始めたた途端
脱水層で生きながらに脱水をかけられているような眩暈
激しく割れ鐘を打ち鳴らし続けるような轟きに
パチンコ台を強制的に開いたような警告音が
24時間頭の中を鳴り響く
胃液もでなくなっても終わらない吐き気
頭蓋骨がふっとぶのではないかと思うような頭痛
全身の関節はばらばらになりそうに痛み
がたがたと震えるほどの寒気と冷や汗
延々と続く幻覚と幻聴で 一睡もできない中で
終わらぬ悪夢のロンドに閉じ込められているかのようだった
けれど一番苦しかったのは心
それは何かわからぬ黒い絶対的な存在からの
『死ななければならないのだ』という
拒絶を許さぬ命令を拒否することだった
その命令はあまりに巨大な存在からの強力な指令であり
私は悶えながらも頭の隅で
キリストが退けた荒野の悪魔とは
もしかしてこのようなものではないかと
考えていたほどだ
この強い「意思の力」から逃れることは
肉体的な苦しさよりもより苦しく
声にならぬ私の絶叫は行き場を求めて荒れ狂った
そしてその荒れ狂うエネルギーは
体中を切り刻むという形での放出を望んだけれど
私は ただ 部屋の真中で
すべて何もかもを「自らの意思」で押さえ込み
そっと膝を抱え座り込んでいるだけだった
あの苦しみの日を私は幸いだと思っている
それより以前の私は
人の世の苦しみをある程度知っているつもりでいたからだ
かつて私は非合法な薬物や酒など
さまざまなものに関わってきたけれど
そのどれもをいともたやすく手放すことが出来た
そう 自分の意志が
これほどに肉体に翻弄されるということを
心は身体の奴隷なのだということを
知らずに生きてきたのだ
たいていの人は
痛いことや苦しいことから逃げ出したい
私だってもちろんそうだ
けれど 逃げ出したくとも逃げ出せない心の弱さ
それがどういうことなのか
実体験をするまで私には本当には分かっていなかったのだ
なんという傲慢だ
私が ひとりで抜け出せたのは
たぶん 偶然だった
もう一度 人間としてこの世界の正面に向かおうという
ただその気持ちだけが
人間としてこの世にあるのだという「意思」だけが
私を離脱という悪魔から引き剥がすことができた
けれど それは たぶん 偶然なのだ
ひとつはっきりしたことは
私は薬を飲んでいようが
このミエナイ世界を観ることに関しては
まったく何も影響を受けることがないということだ
私はこの嵐の中で
かなりの人数のセッションを実際に行っており
その結果は服薬していないときと
なんら変ることがなかったのである
それどころか
私のその様を見ていた友人によれば
私が「世界」を観はじめると途端に
神がかり独特の芯のある顔に変化していたのだそうだ
もちろん 私を取り囲む空気も一変し
その変化の様は まさに
瞬時の変身とでもいえそうなものだったらしい
それを知ることができたことも
私にとっては大きな意味があった
この機会を与えられた幸せに
感謝の意を示したいと思う
-----------------------------------終
【警告!】
この日記は自己判断の断薬を勧めるものではありません
自己判断での断薬は非常に危険な行為であり
脳細胞の破壊及び病状の悪化
さらには死を招きかねない行為であることをご理解ください
減薬ももちろん 医師の指導の元に行われるべきものです
必ず主治医との相談をしてください