いつも月を見ると どこか内証的になる
心の水面にゆらゆらと
奥底から浮かび上がる記憶のカケラ
そのカケラに月光が反射して
様々な過去の感情が幻燈のように形を結び
月見る眼(まなこ)のその裏側へ
映っては消えていく
そんなときはたいてい ひとり車を走らせているときで
揺らめく幻に惑わないように
大音量のBGMへと意識を向かわせたりするけれど
今月の満月は違っていた
とても綺麗で 明るくて
月の光を温かいと感じたのは初めてだった
月光は優しくてもどこか 怜悧で
情感的であるからこその
敢えての極度な客観性をいつもどこか感じていた
けれど この月は私には違っていた
眺めるだけで ただうきうきと楽しい
ほくほくとした思いで 心がふくふくとする
心の底から浮かび上がったハズの記憶のカケラ達すらも
強い月の光を浴びて
しゅわしゅわと崩れて解けて消えていく
私の心のおもては
まるで金銀の綺羅の光で満ち満ちて
凛と自ら光を放っているかのようで
ああ 楽しい
ああ うれしい
他には何も浮かばなかった
知らず知らず 微笑んでいる
神気の中で ただただ喜ぶだけなのだ
何がうれしいのか
なにが楽しいのか
いつも私にはわからない
こういうときの私は いつも
なーんにも考えていないのだ
いや なんにも考えることができないというのが正解
阿呆のように ただニコニコと
ぼんやりしている
いつも理屈ばかりこねている私だけれど
ときに ただ そういうひとときが訪れる
私は理屈やでないと
人の心を失ってしまうから
いつもこの歓喜に満ちた法悦に
浸っていようとはおもわないけど
自分が世界の音のひとつであると
ときおり思い出すのも悪くない
心の水面にゆらゆらと
奥底から浮かび上がる記憶のカケラ
そのカケラに月光が反射して
様々な過去の感情が幻燈のように形を結び
月見る眼(まなこ)のその裏側へ
映っては消えていく
そんなときはたいてい ひとり車を走らせているときで
揺らめく幻に惑わないように
大音量のBGMへと意識を向かわせたりするけれど
今月の満月は違っていた
とても綺麗で 明るくて
月の光を温かいと感じたのは初めてだった
月光は優しくてもどこか 怜悧で
情感的であるからこその
敢えての極度な客観性をいつもどこか感じていた
けれど この月は私には違っていた
眺めるだけで ただうきうきと楽しい
ほくほくとした思いで 心がふくふくとする
心の底から浮かび上がったハズの記憶のカケラ達すらも
強い月の光を浴びて
しゅわしゅわと崩れて解けて消えていく
私の心のおもては
まるで金銀の綺羅の光で満ち満ちて
凛と自ら光を放っているかのようで
ああ 楽しい
ああ うれしい
他には何も浮かばなかった
知らず知らず 微笑んでいる
神気の中で ただただ喜ぶだけなのだ
何がうれしいのか
なにが楽しいのか
いつも私にはわからない
こういうときの私は いつも
なーんにも考えていないのだ
いや なんにも考えることができないというのが正解
阿呆のように ただニコニコと
ぼんやりしている
いつも理屈ばかりこねている私だけれど
ときに ただ そういうひとときが訪れる
私は理屈やでないと
人の心を失ってしまうから
いつもこの歓喜に満ちた法悦に
浸っていようとはおもわないけど
自分が世界の音のひとつであると
ときおり思い出すのも悪くない