とまどいながらも
座れといわれ座った私ではあったが
普段から瞑想する習慣もない私が
いきなりこんなところでそんなこと出来るはずもない
何より肉体的に疲れきっていた
目なんぞ閉じようものなら絶対寝てしまう
いや寝る 間違いなく寝る
うっかり寝ちゃってみんなにばれたらどうしよう
恥ずかしいよなぁ
だいいち何もわかんなかったら
やっぱり違ってましたってなっちゃうのかな
いつまで座ってたらいいんだろう・・・
あぁ 眠い・・・
私は激しく雑念だらけであった
集中だの無心だのとはあまりにも程遠い
案の定気が付くと瞬間的に寝ていて
ふっと意識がなくなる
ガクンと垂れた頭の重みではっと目がさめる
その繰り返しの感覚がだんだんと短くなっていた
頭の揺れで寝ていることがばれてやしないかとおもうと
さすがに恥ずかしくてたまらなかった
やがて「起きている」ということだけが目的になってきて
あれだけあったはずの雑念すら浮かばなくなる
がやがやうるさかった周りの立てている音も
最早何一つ聞こえなくなっていた
そうして 今起きているのか 瞬間的に寝ているのか
微妙に曖昧な感覚になり始めたとき
私はおきていながらにして夢をみた
私の目の前は真っ白だった
上もしたも何もない 誰もいない
天地も時間も何もないような視界全てが白だった
そして真っ白な何もないその向こうから
ものすごいスピードで金色の光が私へと投げかけられる
瞬間で視界すべてが金色の光に満ちた
その光の中を真っ白な巨大な龍が私に向かい
これまたものすごいスピードで体をくねらせて飛んできた
そうして世界の果てまで続くようなその大きな体のうねりの向こうに
真っ白な布をかぶった白い衣の観音様が立っているのだった
「あ」
私は我に返った
私は一体どれくらいそうして座っていたのかわからなかったが
妙にすっきりしていたので
これはやはり実は結構寝ていたのかもしれないと
ばつの悪い思いがした
自分では寝ていたつもりはなかったけれど
うとうと寝ていたのは間違いないことだろうし・・
なんにせよもう立ってもおかしくない時間かなと
立ち上がることにした
するとサポーターの男性が私に声をかけてきた
「何か観えましたか?」
夢・・かもしれないけれどなぁと思いつつ
私は先ほどみた龍と観音様の話をした
すると彼は非常に興奮した表情で
うんうんと激しくうなづくと
「やはり あなたに縁付いているのは観音様ですね」
と 早口で話した
「いえ 夢かもしれないし」
私はなんとなく
自分のどこかで知っていることがあった
そう それは私の源が誰なのかということだった
しかして観音さまは
私個人の際につながる中継地点のような存在で
あえて言えば担任の先生のようなものなのだ
源の情報量を圧縮して
必要なところを解凍してくださる存在だ
私がカミコトをする際に現れる多彩な神々とは
また少し役割が違うのだとどこかで理解していたのだ
「タンキーは縁のある神仏と本人の顔がなぜかそっくりなのです
ほら 見てください」
指差されたこの廟で一番大きなその神像は
おそらくここのご本尊と思しきもので
確かに邸氏にとてもよく似た顔立ちだった
邸氏の顔とと神像を何度も何度も私は見比べる
ギリシャの人が作ればギリシャ的に
日本人が作れば和的になるのだから
台湾の人がつくった神像が
台湾独特の顔に出来ていて
邸氏にそっくりであっても
「それはそういうこともある」ということじゃないのかなぁ
などと いつもの癖で
私は話半分に聞き流していた
その視線に気が付いて
邸氏が私のほうにやってくると
サポートの男性と何かを話しこむ
そのとたん今度は私に向かって
邸氏まで少し興奮しながらこう言い出したのだ
「やはりあなたは観音なんだね
顔を見たときに おや と思っていたんだよ
例えばだれかが 観音像を作ってくれと頼んだなら
それは必ずあなたと同じかおに出来上がる
それは偶然ではない あなたが観音である証拠なのだ
私とこの天公が同じ顔になっているのも偶然ではないのだ
あなたの写真がなくともあなたのことを知らずとも
観音像の顔には必ずあなたの顔が「ある」のだ」
そんなことあるのだろうか
私は頭の中に様々な観音像を思い浮かべてみた
確かに昔から仏像顔だとは思ってるし言われてきた
中には似ていると思うものもあるだろうし
けれど総合的に言えば
明らかに観音像のほうがどうみてもキレイだ
でも こんなにはっきり自信を持って言い切られると
何がなんだかわからなくなってくる
苦笑いをしている私を
サポーターの男性がじれったそうに
壇の裏がわに立ち並ぶ大量の神像のところへと引っ張っていく
そして今度はそこへ廟にお参りに来ていた何人もの
お婆さんやおじさんを連れてくるとこういった
「この中にこの日本人と同じ顔の像があるかね?」
するとどうだろう
人々はみな一斉にぎょっとした顔をするや
ある神像の方を指さした
サポーターはさらにひとりづつに問う
「二つ似たのが並んでいるが この日本人と同じ顔はどれだね」
問われた老女も老人もおじさんもみな誰にも聞かずに
ぴたっと同じ方向にある像を指し示す
そして私の顔を見ては何かを話し合っていた
「あの どれを選んでいるのでしょう?」
線香の煙で燻されて正面だけすっかり黒くすすけた大量の神像の群れ
その中に他と見比べてもとても女性的な二体がいた
どうやらそのどちらかのことを言っているのだとは検討がついていた
「あなたは自分に似ているのはどれだと思いますか」
言われてもう一度見直す
左側の方はどちらかといえば
体格もどっしりと太りじしでいかにもなんだかおばさん風だ
顔の輪郭もぽっちゃりしている
高く頭を髷に結い大阪のおばちゃんに居そうな感じだ
そしてその厳しい目つき
いかにもおっかさんな風貌
トータルなことをみれば私はこっちだ
しかし・・・
その顔立ちがどこか私には似ていないのだ
右側の像はすっと背が高く柳腰で
行かず後家なのか(失礼極まりない)若くはないのだが
年齢不詳の娘風だ
輪郭も細面で おそらく大陸美人なのだろう
左側の像の台湾的な顔立ちとは違っている
そう 私はけっして美人ではない
キレイだったら人生もっと成功していたのにと
どれだけ悩んだかしれないほどだ
それでも・・・
この左の像の輪郭の中の顔は私の顔だった
まん丸な輪郭の中にこの顔立ちを描いたなら・・・
長い鼻すじ そこからつながる骨の描くカーブ
細くて切れ長の長い目
長いほほ 薄い上唇
分厚い下唇 その目つき
それは 私の顔だったのだ
「それは千の手をもち千の眼をもつという観音です」
千の手 千の眼 観音
それは千手観音のことなのか?
「いえ 千手観音という名前は知りません
これは千の眼と手がある観音だと言われています」
台湾に来て私はいろいろなことを言われた
占いの老師には前世が神仏であると
そして人を救うために人の体で生まれてきたと
正義宮ではタンキーの邸氏によって
私には神が宿り そして私自身が廟であると
これが私がほしかった答えだったんだろうか
いや答えなんかを探し求めてはいないのだ
私が望んだのはなんだったんだろう
このココロの重みはなんなんだろう
私は何故タンキーに会いたかったんだろう
興奮するサポーターとうらはらに
私の心は冷めていった
+++++++++++++++++++<すいません汗 10へ続きます>
座れといわれ座った私ではあったが
普段から瞑想する習慣もない私が
いきなりこんなところでそんなこと出来るはずもない
何より肉体的に疲れきっていた
目なんぞ閉じようものなら絶対寝てしまう
いや寝る 間違いなく寝る
うっかり寝ちゃってみんなにばれたらどうしよう
恥ずかしいよなぁ
だいいち何もわかんなかったら
やっぱり違ってましたってなっちゃうのかな
いつまで座ってたらいいんだろう・・・
あぁ 眠い・・・
私は激しく雑念だらけであった
集中だの無心だのとはあまりにも程遠い
案の定気が付くと瞬間的に寝ていて
ふっと意識がなくなる
ガクンと垂れた頭の重みではっと目がさめる
その繰り返しの感覚がだんだんと短くなっていた
頭の揺れで寝ていることがばれてやしないかとおもうと
さすがに恥ずかしくてたまらなかった
やがて「起きている」ということだけが目的になってきて
あれだけあったはずの雑念すら浮かばなくなる
がやがやうるさかった周りの立てている音も
最早何一つ聞こえなくなっていた
そうして 今起きているのか 瞬間的に寝ているのか
微妙に曖昧な感覚になり始めたとき
私はおきていながらにして夢をみた
私の目の前は真っ白だった
上もしたも何もない 誰もいない
天地も時間も何もないような視界全てが白だった
そして真っ白な何もないその向こうから
ものすごいスピードで金色の光が私へと投げかけられる
瞬間で視界すべてが金色の光に満ちた
その光の中を真っ白な巨大な龍が私に向かい
これまたものすごいスピードで体をくねらせて飛んできた
そうして世界の果てまで続くようなその大きな体のうねりの向こうに
真っ白な布をかぶった白い衣の観音様が立っているのだった
「あ」
私は我に返った
私は一体どれくらいそうして座っていたのかわからなかったが
妙にすっきりしていたので
これはやはり実は結構寝ていたのかもしれないと
ばつの悪い思いがした
自分では寝ていたつもりはなかったけれど
うとうと寝ていたのは間違いないことだろうし・・
なんにせよもう立ってもおかしくない時間かなと
立ち上がることにした
するとサポーターの男性が私に声をかけてきた
「何か観えましたか?」
夢・・かもしれないけれどなぁと思いつつ
私は先ほどみた龍と観音様の話をした
すると彼は非常に興奮した表情で
うんうんと激しくうなづくと
「やはり あなたに縁付いているのは観音様ですね」
と 早口で話した
「いえ 夢かもしれないし」
私はなんとなく
自分のどこかで知っていることがあった
そう それは私の源が誰なのかということだった
しかして観音さまは
私個人の際につながる中継地点のような存在で
あえて言えば担任の先生のようなものなのだ
源の情報量を圧縮して
必要なところを解凍してくださる存在だ
私がカミコトをする際に現れる多彩な神々とは
また少し役割が違うのだとどこかで理解していたのだ
「タンキーは縁のある神仏と本人の顔がなぜかそっくりなのです
ほら 見てください」
指差されたこの廟で一番大きなその神像は
おそらくここのご本尊と思しきもので
確かに邸氏にとてもよく似た顔立ちだった
邸氏の顔とと神像を何度も何度も私は見比べる
ギリシャの人が作ればギリシャ的に
日本人が作れば和的になるのだから
台湾の人がつくった神像が
台湾独特の顔に出来ていて
邸氏にそっくりであっても
「それはそういうこともある」ということじゃないのかなぁ
などと いつもの癖で
私は話半分に聞き流していた
その視線に気が付いて
邸氏が私のほうにやってくると
サポートの男性と何かを話しこむ
そのとたん今度は私に向かって
邸氏まで少し興奮しながらこう言い出したのだ
「やはりあなたは観音なんだね
顔を見たときに おや と思っていたんだよ
例えばだれかが 観音像を作ってくれと頼んだなら
それは必ずあなたと同じかおに出来上がる
それは偶然ではない あなたが観音である証拠なのだ
私とこの天公が同じ顔になっているのも偶然ではないのだ
あなたの写真がなくともあなたのことを知らずとも
観音像の顔には必ずあなたの顔が「ある」のだ」
そんなことあるのだろうか
私は頭の中に様々な観音像を思い浮かべてみた
確かに昔から仏像顔だとは思ってるし言われてきた
中には似ていると思うものもあるだろうし
けれど総合的に言えば
明らかに観音像のほうがどうみてもキレイだ
でも こんなにはっきり自信を持って言い切られると
何がなんだかわからなくなってくる
苦笑いをしている私を
サポーターの男性がじれったそうに
壇の裏がわに立ち並ぶ大量の神像のところへと引っ張っていく
そして今度はそこへ廟にお参りに来ていた何人もの
お婆さんやおじさんを連れてくるとこういった
「この中にこの日本人と同じ顔の像があるかね?」
するとどうだろう
人々はみな一斉にぎょっとした顔をするや
ある神像の方を指さした
サポーターはさらにひとりづつに問う
「二つ似たのが並んでいるが この日本人と同じ顔はどれだね」
問われた老女も老人もおじさんもみな誰にも聞かずに
ぴたっと同じ方向にある像を指し示す
そして私の顔を見ては何かを話し合っていた
「あの どれを選んでいるのでしょう?」
線香の煙で燻されて正面だけすっかり黒くすすけた大量の神像の群れ
その中に他と見比べてもとても女性的な二体がいた
どうやらそのどちらかのことを言っているのだとは検討がついていた
「あなたは自分に似ているのはどれだと思いますか」
言われてもう一度見直す
左側の方はどちらかといえば
体格もどっしりと太りじしでいかにもなんだかおばさん風だ
顔の輪郭もぽっちゃりしている
高く頭を髷に結い大阪のおばちゃんに居そうな感じだ
そしてその厳しい目つき
いかにもおっかさんな風貌
トータルなことをみれば私はこっちだ
しかし・・・
その顔立ちがどこか私には似ていないのだ
右側の像はすっと背が高く柳腰で
行かず後家なのか(失礼極まりない)若くはないのだが
年齢不詳の娘風だ
輪郭も細面で おそらく大陸美人なのだろう
左側の像の台湾的な顔立ちとは違っている
そう 私はけっして美人ではない
キレイだったら人生もっと成功していたのにと
どれだけ悩んだかしれないほどだ
それでも・・・
この左の像の輪郭の中の顔は私の顔だった
まん丸な輪郭の中にこの顔立ちを描いたなら・・・
長い鼻すじ そこからつながる骨の描くカーブ
細くて切れ長の長い目
長いほほ 薄い上唇
分厚い下唇 その目つき
それは 私の顔だったのだ
「それは千の手をもち千の眼をもつという観音です」
千の手 千の眼 観音
それは千手観音のことなのか?
「いえ 千手観音という名前は知りません
これは千の眼と手がある観音だと言われています」
台湾に来て私はいろいろなことを言われた
占いの老師には前世が神仏であると
そして人を救うために人の体で生まれてきたと
正義宮ではタンキーの邸氏によって
私には神が宿り そして私自身が廟であると
これが私がほしかった答えだったんだろうか
いや答えなんかを探し求めてはいないのだ
私が望んだのはなんだったんだろう
このココロの重みはなんなんだろう
私は何故タンキーに会いたかったんだろう
興奮するサポーターとうらはらに
私の心は冷めていった
+++++++++++++++++++<すいません汗 10へ続きます>