いろんな夢を見て生きてきた
でも その夢が
現実として実体を伴って
私の目の前に現れる日がくるとは 
思ってもみなかった
夢とは幻で 雲よりも儚いものだと思っていたから


姿を持ち現実となった夢の世界は 
私のいない世界だった
私は届きそうで届かないその夢の世界を
ただじっと見ているしかできずにいる
夢の世界に住んでいるひとたちは
とても楽しそうで 幸せそうで
その人たちの持つ苦しみすら
うらやましく見えてしまう私がここにいる

自分が夢に描いた世界 
それはもう 失ってしまった私の夢 憧れのカタチ
遠く過去からの幻影を伴いながら
私を苦しめ悩ませている

でも どんなに苦しんでも
時間はもう元には戻らない
描いた夢も戻らない
その夢を捨てたことで
今 ここに
自分で立っている私がいるのだから

例え どんなに泣きじゃくっても 
例え どんなにふらついていても
私は自分の足で立っているのだから
そのことを誇りとしていたい

失った夢が追いかけてきて
目の前に現れるとき
これが お前が無くしたものなのだよと
笑顔で手のひらを広げて見せてくるそのとき
それを平然と見ることのできる私でいたい
それを超然とただ見ることのできる私でいたい
乾いた傷から再び血が流れても
それを見据え ただ眺め
そよとも風の吹かぬ心でいたい



夢が追いつけないほどの早さで走っていけたなら