朝目が覚めるとカーテンを開け
まずは一口お茶を飲みます
その足で向かうのは
小さな小さな私のベランダ
お日様が照っても 
雨が降っても
薔薇たちを眺めずにはいられないのです

咲き始めの白れんげ

小さなベランダにふさわしく
それはそれは小さな薔薇たちだけれども
大切な私のミニ薔薇
咲いていても
いえ蕾すらなくても
それでも眺めずにはいられないのです

ずっとずっと大好きだったのに
何故か薔薇だけは育ちませんでした
子供のころから
植物を育て土をいじって一人遊んでいた私
幼い頃は趣味として
大人になってからは必要にせまられて
野菜からハーブや果物
もちろんいろんなお花も作ったりしたのです
たいていのものは枯れることはなかったのに
何故か薔薇だけはどうしても駄目でした
そのうちかわいそうになって
薔薇を育てることをやめてしまいました
欲しくても枯れてしまうことを思うと
他の人のところで可愛がってもらったほうが
いいに違いないと思うようになったからです

房咲のスィートチャリオットは素敵な香り

それが去年の秋
何故だか一鉢買ってしまった
急にほしくてたまらなくなったのです
それからは毎日花屋をめぐるようになりました
そのうち
香水やお香にシャンプーも石鹸もなにもかも
薔薇の香りがすると言われれば
何が何でも買い込んでしまうようになりました
もちろん元々薔薇グッズは大好きだったけれど

そうして冬を過ぎ
春を過ぎ
母が病に倒れ
同居人の病は悪化し
18年をともに過ごした猫は去っていきました
けれど
私の小さな薔薇たちはもう
枯れることはなかったのです

満開のれんげと名無しコルダナの寄植え