※完全に個人的記録です

夢の中で私は気が付くと
東京のとある公園にいました
(後ろはまったく見ていないけれど公園だと思っていた)

そこは高台になっており私は手すりにもたれながら
すぐ下に見える住宅街を眺めていました
真下には今いるところよりかなり小さい砂場や遊具のある公園があり
(私のいるところにはそういうものは無い)
お昼休みらしいOL風の女性が2,3人
その公園を通り抜けていくのが見えます

下の公園の四方は道路に囲まれ
その道路にそって民家がたちならび
その中の一軒はマンションで
そこは少し前から疎遠になっている
私の古くからの友人が住んでいました
(現実とは違います)

初夏の日差しはとても心地よく
ここから見える友人の部屋の窓は開け放たれており
一人暮らしにしてはえらくたくさんの布団が
干してあるのが見えました

ふと私は窓も開いているし
布団も干してあるのだから
友人は仕事が休みで家にいるのだろうと思いました
しかし敢えて連絡するつもりはありませんでした
私のいる公園から彼女のマンションは
眼と鼻の先に見えますが
実際は細い階段を延々と下った上に
ずいぶん回り道をしないと
たどり着けないマンションだったのです
しかも友人と以前のようなつきあいをする気持ちも
持ってはいなかったからでした

そんなコトを考えているうちに
ぽつっと何かが頭にあたりました
にわか雨です
こんなに晴れて強い日差しもあるのに
いわゆる天気雨のようです
するといきなり

「うわあ 降ってきちゃった どうしよう!」と

私の左隣から声がしました
そちらを見るとなんと例の友人です
しかも何故か掛け布団を抱いています
私は

「布団干してるよね?
濡れちゃうから急いだほうが良くない?」と

声をかけました

そうこうする間に
みるみる雨脚は激しくなり
ついにはとてつもない豪雨となりました
雨を避けるために
OL風の制服を着た女性や
主婦っぽい人たちが慌てて
眼下の公園を走り抜けていくのが見えます
しかし何故かほとんど私に雨は当たっていません
ふと上を見上げると
私の右隣に大きな桜の木があり
その枝が私の頭上を
ちょうど雨から守ってくれていました
枝には一枚一枚が輝くように美しく萌える
柔らかな新緑の葉っぱが密集していて
そのおかげでほとんど雨がかからないのです

桜の枝のがあるために
空は見えませんが
どうやら随分と低く雲が垂れ込めたようで
すっかり暗くなってきました
私が左に眼をやると
なんと友人はまだそこにいました
しかもまるで池から上がったかのように
頭からなにからずぶぬれで
ぐっしょり濡れた掛け布団を胸に抱いています
(ここで私は何か声をかけ
友人も何か答えたのですが
なんだったのか忘れてしまいました)

すっかり濡れしぼった友人に
空の底が抜けたような激しい雨は降り注ぎ続け
前髪を伝う雨がまるで小さな川のように
友人の顔を流れていきます

「こんなに濡れちゃった どうしよう~」

そう言う友人の声も表情も
やたらにひどく満足げで嬉しそうでした
何故か私は友人のことを
随分とカミコトに狂信的になっちゃったんだなぁと感じ
その表情を見て少しぞっとしました
そして自分の周りが桜の木のおかげで濡れていないのに
何故彼女は雨宿りをしないのだろうと
不思議になりながらも
もう少したったら雨脚も和らぐだろうから
それまで動かないでいようと思っていました

しばらくすると雨はいきなり小雨になり
やがてほとんど止んでしまったのですが
そこでふと私も自分の家に
布団を干しっぱなしできてしまったコトを思い出します
何故か時計も見ずに今が4時であると思い
今から新幹線に乗っても夜までに取り込めないので
○○に電話して頼もう(これも思い出せない)と思い
びしょぬれの友人に向かってそのことを言いました
そしてこれも何故だか
その電話は公園を抜けて出てからしようと思い
桜の木の陰から右へでたとたん
眼の前が突然開けました
するとそこには空一面の巨大な黒い龍がいたのです

夕暮れとも雨雲ともつかない雲に覆われた
あまりに暗い空の真ん中に
大きく口を開けカッと眼を見開いた大きな顔の黒龍です
その姿はまるで江戸時代の水墨画のようで
普段私がカミコトで観る龍の姿とは
まったく違っており
どことなく私は恐ろしくなりました
しかもその黒龍はこんなにもはっきりと見えるのに
なんと雲が集まったものであり
見ている間に
ゆっくりと顔の輪郭から解けていき
解けた部分の空は薄く白く太陽の光が差していました
それでも眼はこちらを見据えており
体もはっきりとしたままでしたが

少し怖い私は
急いで公園を出ようと右へ進もうとしたとたん
今度はこちらの空一面を埋めつくす
同じく雲でできた狐の大群に出くわしました
右の端の方は大きな白く輝く光で
先ほどの黒龍の左下の方へ向かって
その光から空を埋め尽くさんばかりの狐の大群が走っています
しかもこの大群もやはり雲でできていました
ただ先ほどと違うのは
先ほどの黒龍が水墨画タッチだったのに対し
狐は非常にリアルな西洋画風でした
そしてその白く光る光を見た瞬間
何故か稲荷神であると分かり
この狐の大群はその使いであり
黒龍と勢力争いをしたのだと分かったのです

私はこちらにもやはり少し恐怖心がわき
急いで公園の端にある
ちょっとした木々でできた自然の木の枝のトンネルを
向こう側へと抜けました
(トトロのメイちゃんみたいです)

抜けた先はまるで
名古屋の女子大小路のような
ビルの立ち並ぶ飲み屋街でした
完全に暗くなる直前の薄ら白い空の下
街路灯はあるのにひどく暗くて
ぽつぽつと歩いている人は
まるきり黒い人影のようです
三叉路の真ん中に立っているビルの
半地下の飲み屋が私の行き着けのようでした

ドアを開けるとそこは
古くて小汚くて猥雑な雰囲気の店ですが
どうやら私はかなりの常連のようです
カウンターしかない狭い店内には
すでに3~4人お客がいて
奥から2番目の席をわざわざ空けてくれました

私は誰とも目を合わさないまま
作り笑顔で口だけの挨拶をしながら
席へと割り込みます
座るときに一番奥の席の客を見るとそれは
ベレー帽をかぶりじゃらじゃらとアクセサリーをつけた
何者とも知れない異様な初老の太ったおばさんでした
一応お風呂には入っているのでしょうが
いったいいつ着替えたのか
服には彼女の体臭が染み付いています
気が付くと反対側の客もみな初老の男で
しかもいったいどんな職業なのか
いえ そもそもホームレスではないのかと思うような
薄ら汚れた服に体臭がしみつき
そしてどこか油っぽい肌をしています
しかも明らかに
「ひと」では無いのでした

私は妙にはしゃぎ
勧められるまま乾杯を繰り返しながら
浴びるように酒を飲み
求められるまま下品な話題をし
みんなに可愛がられています
そうしながら
このままここにいたら
私は落ちていくなぁと考えていました
それも半端ないどん底へ棲み変わるのだと
そう思いながら
堕ちていけばいいんだ
泥沼に堕ちていくのが楽しいんだ
子供もまともな人生も何もかも
こうして捨てて忘れていくのだと
しょせん自分はこうなのだと
酔っ払った頭で考えていました

しかし何故だかその澱みきった暗い店の中で
私の全身だけが精妙な薄い青と白金の光を放ち
その光は
私一人だけこの中で明らかに違う種類であり
どんなに汚濁にまみれても
この光を消すことは私自身にもできないのだと
気づかせたのです

そしてそこで眼が覚めたのでした