ゆうべ家に帰ってみると
小さな荷物が届いていた
普段通販での買い物をすることがない私に
荷物が届くことはまず無いことである
送り主は都内の聞いたことのない会社だ
いったいなんだろう・・・と思いながらも
そっと包装を明けてみる
するとそこにはリボンのついた小さな箱があった
そしてその中には
天眼石のブレスレットが入っていたのだった
(あ これRさんからの贈り物だ)
見た瞬間私は気が付いた
一週間ほど前になろうか
何度かセッションさせていただいたことのある
Rさんという女性から
天眼石のブレスを贈りますとの
メールを頂いていたのだった
最初はよもやこれは送りつけ商法か?と
密かに疑いながら開いたのだが
これが そのブレスなのだと
さすがに鈍い私でも理解した
(本当に贈ってくださったのだなぁ・・)
パワーストーンに疎い私でも
天眼石のことは知っており
なんとなくいきなり触れてしまうのは気が引けて
そうっと箱の蓋を閉める
「新品のもんを下ろすのはな
午前中やないといかんとゆったもんやがな」
三つ子の魂百までとはよく言ったもの
何故か脳裏に
亡くなった父方の祖母わかゑの声が蘇り
明日天気が良ければ午前中に身につけようなどと思う
お婆さん子は三文安いそうだが
こんな調子では私はいったい幾ら安いのだろう
同居していた祖母のわかゑは
宗教だのあの世だの
チャンチャラ馬鹿にしきっていた人間で
自分の旦那(私の父方の祖父)が亡くなっても
まともに仏壇に花も立てず
拝みもしないといったあんばいで
我実家の宗教的伝統を
もれなく断絶させた張本人だ
そんな彼女を内心私は
ルターと呼んでいる
彼女の免罪符はずばり札束だったので
ルターにしてみたら
一緒にすんなと怒られそうだが
まぁ私からしたら似たり寄ったりである
(ルター派のかたすみません)
そんな主義にも関わらず祖母わかゑは
いわゆる迷信じみたことは
しつけの根拠にして孫の私を叱るのだった
もちろん彼女自身
迷信なぞひとつも信じていないことは
幼い私の目からみてもバレバレだったのだが
恐ろしいことに私の行動規範には
彼女の言葉がどこかに残ってしまったのだ
朝になり
私は添付されていた説明書のとおり
薫香による浄化というものをしてみるかと
所有しているお香の中から
今日の気分でひとつ選んだ
サイババ香の中のAasthaという
まだ一度も箱さえあけたことの無かった一本を取り出し
そっと火をつけた
両の手のひらにブレスを包み
そっと観んじる
金色の光の粉を巻き上げた
見知らぬ赤い肌の憤怒尊が業火を背負い現れる
その後ろにはまるで
西域の古い廃墟にでも描かれたような
これも見知らぬ古き神々がぼぉっと立ち上がっている
私はできるだけ密やかに
そしてゆるりと長く息をする
すると立ち居並ぶ神々の真中から
真白き光が現れたかと思うと
くるくると回り螺旋を描き天へと昇り行く
その向こうには
あまりの輝きでもはや白に見えるような
金の光を放つ観音さまが現れ出で
ブレスの玉ひとつひとつより龍が生まれ出でるさまを
微笑みごらんになっていた
いまやブレスは
私には金色の帯のように
そうまるで
金の分厚いバングルのように観えていたのだった
手の平をひらき
左の手のひらに置きなおし
私は仕上げにとくるくると気を整え
腕を通す
(・・・あ)
私の左手の肉を透かして
細くたおやかでありながら
きっぱりとした力強さをもつ「金色の手」が
そこにははっきりと観えていた
(わかゑさよ やっぱ朝やったわ)
ふと心の中でそう話し掛けると
わかゑが子供のように笑ったような気がした
小さな荷物が届いていた
普段通販での買い物をすることがない私に
荷物が届くことはまず無いことである
送り主は都内の聞いたことのない会社だ
いったいなんだろう・・・と思いながらも
そっと包装を明けてみる
するとそこにはリボンのついた小さな箱があった
そしてその中には
天眼石のブレスレットが入っていたのだった
(あ これRさんからの贈り物だ)
見た瞬間私は気が付いた
一週間ほど前になろうか
何度かセッションさせていただいたことのある
Rさんという女性から
天眼石のブレスを贈りますとの
メールを頂いていたのだった
最初はよもやこれは送りつけ商法か?と
密かに疑いながら開いたのだが
これが そのブレスなのだと
さすがに鈍い私でも理解した
(本当に贈ってくださったのだなぁ・・)
パワーストーンに疎い私でも
天眼石のことは知っており
なんとなくいきなり触れてしまうのは気が引けて
そうっと箱の蓋を閉める
「新品のもんを下ろすのはな
午前中やないといかんとゆったもんやがな」
三つ子の魂百までとはよく言ったもの
何故か脳裏に
亡くなった父方の祖母わかゑの声が蘇り
明日天気が良ければ午前中に身につけようなどと思う
お婆さん子は三文安いそうだが
こんな調子では私はいったい幾ら安いのだろう
同居していた祖母のわかゑは
宗教だのあの世だの
チャンチャラ馬鹿にしきっていた人間で
自分の旦那(私の父方の祖父)が亡くなっても
まともに仏壇に花も立てず
拝みもしないといったあんばいで
我実家の宗教的伝統を
もれなく断絶させた張本人だ
そんな彼女を内心私は
ルターと呼んでいる
彼女の免罪符はずばり札束だったので
ルターにしてみたら
一緒にすんなと怒られそうだが
まぁ私からしたら似たり寄ったりである
(ルター派のかたすみません)
そんな主義にも関わらず祖母わかゑは
いわゆる迷信じみたことは
しつけの根拠にして孫の私を叱るのだった
もちろん彼女自身
迷信なぞひとつも信じていないことは
幼い私の目からみてもバレバレだったのだが
恐ろしいことに私の行動規範には
彼女の言葉がどこかに残ってしまったのだ
朝になり
私は添付されていた説明書のとおり
薫香による浄化というものをしてみるかと
所有しているお香の中から
今日の気分でひとつ選んだ
サイババ香の中のAasthaという
まだ一度も箱さえあけたことの無かった一本を取り出し
そっと火をつけた
両の手のひらにブレスを包み
そっと観んじる
金色の光の粉を巻き上げた
見知らぬ赤い肌の憤怒尊が業火を背負い現れる
その後ろにはまるで
西域の古い廃墟にでも描かれたような
これも見知らぬ古き神々がぼぉっと立ち上がっている
私はできるだけ密やかに
そしてゆるりと長く息をする
すると立ち居並ぶ神々の真中から
真白き光が現れたかと思うと
くるくると回り螺旋を描き天へと昇り行く
その向こうには
あまりの輝きでもはや白に見えるような
金の光を放つ観音さまが現れ出で
ブレスの玉ひとつひとつより龍が生まれ出でるさまを
微笑みごらんになっていた
いまやブレスは
私には金色の帯のように
そうまるで
金の分厚いバングルのように観えていたのだった
手の平をひらき
左の手のひらに置きなおし
私は仕上げにとくるくると気を整え
腕を通す
(・・・あ)
私の左手の肉を透かして
細くたおやかでありながら
きっぱりとした力強さをもつ「金色の手」が
そこにははっきりと観えていた
(わかゑさよ やっぱ朝やったわ)
ふと心の中でそう話し掛けると
わかゑが子供のように笑ったような気がした