川上優太は思い出していた。
「ゆりかごメール」閉鎖の直前、
ひなたは、いくつかの告白をしていた。
病院のベッドから「ゆりかごメール」を続けていたこと。
そして、広島のスケートリンクで会ったのは、
妹の幸子だと書かれてあったこと。
TO: 優太
送信:2008/3/2 22:30
Re:
うん。思い出したよ。
あの時の女の子なんだね! かなりびっくりだよ
本当に、スケートリンクで会った女の子なの?
どうしてあの時、君が来たの?
優太
FROM:幸子
受信:2008/3/2 22:35
Re:Re
思い出して頂いて嬉しいです。
本当です。スケートリンクでお会いしたのは私です。
あの時は、ひっぱたいてごめんなさい。
詳しい話は、お会いした時でいいですか?
幸子
TO: 優太
送信:2008/3/2 22:40
Re:Re:Re
わかりました。
それじゃあ金曜日楽しみにしています。
その前でも、何かあればいつでも連絡下さい!
優太
FROM:幸子
受信:2008/3/2 22:45
Re:Re:Re:Re
はい。ありがとうございます
金曜日 楽しみにしています。
幸子
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2008年 三月七日。
斉藤幸子と会う日がやってきた。
川上優太は、約束の喫茶店へ向かった。
「カランコロン」カフェの扉が軽やかな音を鳴らす。
店内には沢山の水墨画が飾られている。
今では誰も使用しない電話ボックスがそのまま残され、インテリアと
なっている。静かなコーヒー店だ。