ネーミング考えすぎ?
以前、文具メーカーの広告の仕事をしているとき、メイン商材のひとつに付箋がありました。
そのネーミングが、これも私が仕事をしている外資系化学メーカー・3M社の世界的に有名な付箋、[ポストイット]の模倣のような体(てい)。
その段階で、すでにブランディングをしくじってしまっていますね。
ちゃんとネーミングは考えないといけません。
そう思わされたのが、やはり付箋の[magnetic NOTES(マグネティックノート)]という凝ったネーミング。
この商品、接着剤ではなく静電気でくっつくという非常に画期的な機能性を持っていますが、それがネーミングからまったく伝わってこない。
マグネットが磁石だから、と思っても、付箋がくっつくのはあたりまえ。
いまではデスクの上に必ずPCやスマホがあるので、ホンモノの磁石っ気はいけません。
だいたいが「ノート」を名乗っていますから、付箋の素性ではない。
このネーミングにはサブ的についている商品ショルダーがあるのですが、これが「魔法のふせん」。
なるほど、「ふせん」だということはわかる。しかし、「魔法の」ですからね、残念ながら昭和の感覚。
それでも売れているのはテレビが紹介したことがきっかけ。
その幸運がなければどうなっていたか心配なところです。
この場合は、いろいろ考えずに、ネーミングは
[静電気でつくふせん]としなければなりません。
つまり、新しい概念の商品には、わかりづらい凝ったネーミングは禁物なのです。
と、考えて念のために検索したところ、なんと100円ショップのダイソーでは[静電気でつくふせん]そのままの商品があるのです!
まぁ、模倣品なのかどうかは知りませんが、ネーミングのテクニックではダイソー社に軍配があがりますね。
似た話では、新宿駅南口のファッションビルの件。
JRの駅ビル運営会社ルミネが始めた
[NEWoMan(ニュウマン)]。
力を入れすぎたせいか、凝った、カッチョいいネーミング。
ところがこれが、初年度売上高目標(200億円)を大幅に下回る成績だそうです。
まったく新しい[ニュウマン]という、親しみのないネーミングが原因のひとつになったのではないか、と。
わかりやすく[ルミネ 2]とか、[ルミネ南館]などとしておけば、もう少しましな結果になったことでしょう。
「ネーミングはよく考えなきゃだめです」とはいうものの、考えすぎてもNGなのです。