ウチの工場はどこへ行く?! | マーケティング・コンサルタント弓削徹

ウチの工場はどこへ行く?!

中国からの撤退、もしくは事業の撤回・縮小を企図する日本企業は増えています


その理由は、中国の人件費高騰、尖閣などくすぶる反日政策、人民元高、労働争議の頻発、撤退時の大変さ、知財侵害、各種の規制・参入障壁、バブルの崩壊など。


中国からベトナム、インドネシア、ミャンマーなどへ、あるいは国内へ工場を移転していく動き。


とはいえ、たとえばベトナムにはまだまだ製造業の下地がない。それを順調に立ち上げるにはどうすればいいか


この問題を解決するやり方が、優秀なベトナム人たちを日本の工場でみっちり研修し、その間に建設した現地工場にリーダーとして戻すことでロケットスタートを実現するという作戦でした。

その一方で、ベトナムなどへ移転したアパレル系企業は生地やボタン、糸などを近隣の他メーカーから調達できずに「機会損失が起きた」という話が伝わってきました。


アパレル──ファッション産業とは、流行に乗っかったアイテムを速く店頭に並べなければ、売り逃がしが起きてしまうビジネスですから、生産のスピードは重要なのですね。


つまり、中国といえどもそれなりに成熟した生産体制があり、製造業を成立させるだけのサプライチェーンの集積があったということに気づかされるわけです。


デリバリーを考えても、東南アジアなどの国々は中国に比べてちょっと遠方でもありますし。


ところが、アメリカ新大統領のトランプ氏に中国は目の敵にされており、今後、関税が45%(?)になったりするかもしれない(?!)


さぁさぁ、いったい日本企業はどうすればいいのだ!!


昨年、私は中国の製造業の現場を取材しに、シンセン、広州、香港を訪れたわけですけれど、その時の同行者で、今月も同じような現場を見てきた人によれば、「また、ずいぶん変わっていました」とのこと。


アジアの時間は日本国内の流れとは異なり、矢のように飛ぶ


ということで、ある見方があるときは正解であっても、次の瞬間、それは誤りとなる。


また、マクロな見方は、かならずしもミクロな視野での正解とも限らない


以前から言っていますが、中小企業が巨大投資をして海外へ進出し、日亜(先進国と新興国)の異なる時間軸をコントロールしようとするのには無理があるのですよ。

(そんなことを言っても、私の支援先企業で上海・香港に現地法人があったり、広州に子会社があったり、韓国・台湾に製造委託しているところもあるのですが)


ただ、あれだけ大勢の消費者、ユーザーが住んでいる地域もないもので、市場として対応していくには越境ECという選択肢もとれる。


国内生産にこだわって成功する方法もある。


リスクをとらないことがリスク、という言い方もできますが、やはりリスクはリスクなんですねぇ。