自社工場での一貫生産はウリか?
最近、越境ECで海外販売をしようと考える中小製造業さんが増えています。
先日、お話ししたメーカーさんも、英語サイトをつくっての販路拡大を考えていました。
そのときのキャッチコピー表現はどのようにしたらよいか、というのがご質問です。
基本的には身もフタもない、ストレート系になります。
英語圏と言っても、欧米、豪州、アジアなど、ほとんどの地域が対象になります。
そのときに、文化を背景とした味のある表現や言葉遊びは、「?」を呼ぶだけでしょう。
事実やウリを、ストレートに述べるのみ、です。
ちなみに御社の強みは何ですか? と訊きましたら、「細いネジをつくれます」。
それを、「他社工場に出さず、自社工場で一貫してつくれるところが強みです」とのことでした。
講演後であまり時間もなかったのですが、お伝えしなければいけないと思い、お話ししました。
自社工場で一貫してつくれても、それはウリにはなりません。
お客様にとって、どこでつくろうが、要件通りのネジが安くできればいいわけですから。
むしろ、餅は餅屋の強力なサプライチェーンがあるほうが、高品質な製品をつくれる場合もあるでしょう。
それが、「一貫生産なので短納期です」とか、「不具合への対応スピードが迅速です」となってはじめてお客様は聞く耳を持ちます。
しかし、このスピードというメリット。。
以前にも書きましたが、QCDはウリになりません。
どこも品質がよくて当たり前、安さはすぐに下をくぐられる、短納期も同じで社員が苦しむだけ、なのです。
たとえばネジが革新的に細くなったことで「いままで溶接かリベット留めしかムリだった箇所にも着脱可能なネジが使用でき効率が高まる」、あるいは「ステンレスより錆びにくく、ステンレスより安価なネジ」のように、メリットに直結する変化を実現してこそウリなのです。
それも、他社ではすぐにマネができない自社技術によって実現できてこそ、差別化になるのです。
このポイントをキーワード化し、メッセージに乗せることができれば、展示会でも通販サイトでも、必ず買い手がつくことでしょう。
きちんとウリが伝わっても引き合いがなければ、それはニーズのない技術なのかもしれません。