ものづくりの付加価値とは | マーケティング・コンサルタント弓削徹

ものづくりの付加価値とは

ものづくりの付加価値を、どう考えればいいのでしょうか。

たとえば、1個のネジをつくる場合。


ネジ1個あたり3円の鋼材を、稼動コスト2円の切削マシンで削り、10円で売れれば「5円の付加価値が現場で生まれた」ということになりそうです


しかし実際は、製作までのプロセスも見なければなりません。


需要が多いのに供給が少ない形状の特殊ネジに絞り込もうと決めた商品企画、に価値があったかもしれません。


あるいは、以前より短時間で切削できるようにした設計の知恵があった。


もしかしたら、ゆるまないネジのような画期的なアイデアが価値を生み出したのかもしれない。


こうした企画や知恵の部分が、新興国との差別化ポイントになっていくのですが、その設計図面すらも流出してしまっているのが現状です。


流出ルートは、ネットハッキングや産業スパイ、技術者ごとのヘッドハントなどなど。。


くわえて、中国政府は設計段階の情報を持ち込まざるをえないような規制をしています。


それは、「“金型”の持ち込みにたいしてグラムあたりで多額の関税をかける」という仕組みです。


設計図で持ち込めば関税はゼロ、となれば自然と現地の中国工場に図面が渡ります。まぁ、よく考えたものですね。


かくして、日本の製造アイデアは流出する


日本企業は、苦しいけれど今後も新しい商品企画を案出しつづけていかなければならない……。


環境製品や情報機器、医療機器など、なんでもいいのです


自社の得意技術を生かした切実な分野はどうでしょう。


そうやって、かつてウォークマンやCD、DVDを生み出したように、新機軸の商品企画を考え続けることこそが、日本のものづくり産業の生きる道なのではないでしょうか。