デベロッパー事例~解決編 | マーケティング・コンサルタント弓削徹

デベロッパー事例~解決編

富裕層を囲い込むために2

本件は、一言でいえば富裕層向けマーケティングです。金融資産はIT系企業オーナーや役員、自由業など、ごく限られた層に集中しているといわれています。

どうやって彼らにアクセスし、信頼関係を築くか。ここが肝要です。

前提としては、トータル・プロパティ・カンパニーをキーワードに「選ばれた人と共に付加価値を生み出していく」というコンセプトを設定。

ただのデベロッパーである、という社内の意識を変えてもらうことから始めました。

ブランディング構築のためにはパブリシティ展開が不可欠と考え、弓削の出版社とのリレーションをたどって米系経営誌「F」のキーパーソン紹介ページに「我が社の挑戦」などのタイトルで取り上げてもらうよう仕掛けました。

それを抜き刷りにして営業訪問に生かすというわけです。社内にも良い影響を与えます。

目的の顧客探しでは、過去の顧客データを再活用することはもちろん、新たに媒体として、経営誌、投資誌だけでなく、ベンツ、BMWなどの高級外車オーナーの会員誌、またダイナース、アメックスのカード会員誌などを告知の場として選択。

魅力的なオファーにより、会員組織への誘因を行います。(他にも、銀座和光の会員誌、SevenSeas、Nile’s Nileなど高額所得者向け雑誌、メディカル・トリビューン、日経メディカルなど医師向け雑誌、SevenHillsなどのウェブを検討)

こうして人的に、また紙誌から、DMから、ウェブから集められた名簿を、いやな言葉ですが所得や資産高で足切りをしてターゲットセグメントとしての純度を高め、「友の会」組織に囲い込みます。

会員には、ロイヤルティと継続性を高めるために、立体的コミュニケーションを仕掛けていきます。

まず会員誌の発行、専用ウェブ開設、メルマガを配信。

また、定期セミナーの開催、これはファイナンシャル・プランナーによる講演や資産運用相談会などです。

さらに弁護士、税理士の紹介など、個別な人的サービスも。

また、会員同士の交流を促すことも付加価値を高める手法です。この辺はマン・ツー・マンの対応が必要となり、省力化がむずかしい、しかしはずせない対応といえます。

日経グループのQUICKなどと提携して株式金融情報を提供、Q&Aを受け付けるなど、役立つ限定的な付加価値情報を発信していきます。

そして、顧客たちの指向を知るため、寄せられたはがき、Eメールの本文を、定量だけでなく定性分析を行うのです。

これには、ナレッジ・マネジメントソフトを使ったテキストマイニングを活用します。この結果を、再度サービス開発、営業活動へ生かしていくわけです。

注)1.実際にはここに記せないコアな戦術もありますがご理解ください。

2.本件クライアントは不動産業ですが、お世話になった方の関係で受注したものであり、原則的に私が金融・不動産業のコンサルティングを受けることはありません。ご了承ください。