タダよりうれしいモノはない | マーケティング・コンサルタント弓削徹

タダよりうれしいモノはない

先日、ようやく「FREE」を読みました。

カミソリメーカーが替え刃を販売促進するために試供品を配ったり、ゼリーの材料を拡販するためにレシピブックを配ったりという、はるか昔から「無料」ビジネスはありました、しかしインターネット時代となって、無料化される情報やサービスは格段に増えました、…などと書かれています。

その気で見てみると、リアル世界の無料も、たくさんありますね。まず、マクドナルドでは「プレミアムローストコーヒー」を2010年10月15~21日まで無料で提供。0円は、スマイルだけじゃないです。同様に、イオン系列のコンビニエンスストアであるミニストップでも2010年10月5~9日、コーヒーを無料で提供。たばこ税値上げ対策でしょうか。

ミスタードーナッツでは「大復刻際」として、2010年9月28~30日の3日間、創業当時のドーナッツを240万個限定で無料配布。銀座のある居酒屋では料理を2品注文すると、焼酎が何杯でも無料。生ビール3杯目から無料、というのもあります。また、カレーライスが無料、という店舗も。子供たちが昼時に来て、2、3杯おかわりをして帰って行くそうです。

こうした、「無料」戦略のメリットとはいったいなんでしょう。

まず、ロスリーダー戦略の側面があります。ロスリーダーとは「目玉商品」のこと。スーパーでタマゴ1パック100円! などとチラシをうって集客、ついで買いを誘う、あれですね。つまり究極の目玉は「無料」ということです。

また、人は「無料」といわれると判断力がにぶるともいわれています。たとえば、「送料無料」にするためにアマゾンで不要なモノを買物してしまう、など。ビール3杯目以降無料の店では、実際、逆に客単価が上がったといいます。勝ちぐせのついたマックも、もちろん客単価をのばすことでしょう。

次はサンプリング効果です。つまり、おいしいメニューをハードル低く試してもらい、ファンになってもらおう、つぎはお金を払ってもらおう、というもの。マックのコーヒーは実際おいしいので、体験者はつぎにスターバックスではなく、マックをめざすかもしれません。

そして重要なのは「返報性の法則」が見込まれること。つまり、無料で提供してもらっちゃ悪いので、なんか買って帰ろかな、という心理状態。無料カレーの店では、満腹になった子供たちの親が、夜な夜な飲みに来るそうです。

さらに、「パブリシティ効果」も大きいですね。「無料!」ともなれば、ニュースやワイドショーのネタになりますから、テレビCMもなしで販売促進ができるわけです。

と、いうわけで、今日も何かがタダになります。あ、そういえば、「FREE」には、「Googleは何を無料にしようかを日々、考えている」と書かれていましたよ。