藤浪晋太郎 阪神のエースから球界のエースへ一皮むけるか?
初の開幕投手は藤浪で決まり
2016年金本阪神の初陣先発マウンドに立つのは、
藤浪晋太郎で間違いないでしょう。
プロ入り後の実績としては申し分なく、
初の大役もしっかりとこなしてくれると思われます。
この栄誉ある開幕投手、阪神では井川慶の
5年連続が球団最長連続記録です。
開幕後に22歳を迎える若き侍には、5年連続とは言わず、
山田久志(元阪急)さんの持つ12年連続という
日本記録へ挑戦してほしいところです。
もちろん大リーグ移籍などがなければの話ですが。
同世代に、球界を牽引する大谷投手(日本ハム)の
存在があるからか、藤浪の実績がそれほど取沙汰されませんが、
本当に輝かしいものです。
大阪桐蔭高校時代から規格外で、2年生から常勝チームのエースを務め、
3年生では史上7校目の甲子園春夏連覇を達成します。
準決勝、決勝では2試合連続完封というおまけつきでした。
ドラフト1位で阪神に入団し、昨年まで順調に階段を上っています。
高卒1年目から3年連続の二桁勝利は松坂大輔(現ソフトバンク)以来
14年ぶりの史上9人目、セ・リーグでは江夏豊氏以来46年ぶりの史上3人目、
昨シーズンは奪三振王に輝きますが、高卒3年目での
シーズン200奪三振は、ダルビッシュ有(現レンジャース)
以来という快挙づくしの活躍です。
二桁奪三振も9度を数え、奪三振率は9.99へアップするほど、
藤浪といえば三振をとってくれるというイメージです。
セ・リーグのシーズン奪三振率は早くも歴代6位になり、
さらに驚くことに
セ・リーグ右投手でいえば歴代トップ
に躍り出る快挙です。
どれをとっても大谷投手に負ける数字ではありません。
事実、通算の勝利数や奪三振数などたくさんの項目で
勝っていますが、大谷の代名詞でもある
「日本最速162キロ」「二刀流」などのインパクトおよび、
世界野球プレミア12で見せた日本のエースぶりの
活躍にかき消されているだけなんです。
念願の沢村賞獲得へ!
ライバル大谷投手に追い付き追い越すには、
2016シーズンで沢村賞を獲得することが
近道だと思われます。
昨年は、広島の前田健太投手が2回目の栄冠に輝きました。
沢村賞は、該当者なしと言う結果もあるくらい難しい賞で、
次の7項目を基準として先行されます。
1,15勝以上
2,奪三振150以上
3,完投試合数10以上
4,防御率2.50以下
5,投球回数200イニング以上
6,登板試合数25以上
7,勝率6割以上
ともに4項目をクリアした藤浪、大谷も最終選考に残りましたが、
5項目をクリアした広島の前田投手に決まりました。
その前田投手が大リーグ挑戦で日本球界を離れた今、
怪我さえなければ2016年シーズンは二人のマッチレースになりそうです。
藤浪投手にとっての課題は二つあると考えています。
一つ目は、3年間で通算5勝7敗と分が悪い巨人戦の克服です。
防御率は決して悪くないので紙一重なんです。
手が付けられないピッチングをしていても、
1個の四球や自らのエラーなどで突如崩れる
というケースを結構見ました。
阪神優勝時は、巨人に勝ちこしていることが多いので、
覇権奪回にはライバルを叩きつぶす必要があります。
藤浪自身が根っからの巨人ファンだったというのは有名な話ですが、
鬼になって巨人から貯金をつくらないとトップにはいけないでしょう。
二つ目はビジターゲームにおける勝率アップです。
本拠地甲子園では通算19勝4敗で驚異の勝率826ですが、
ビジター球場だと通算16勝17敗と負け越しています。
昨シーズンは、甲子園で8勝2敗の防御率1.78に4完封を
あげる内弁慶ぶりを発揮しました。
少なくともビジターで5割以上の成績が求められます。
この二つの課題を克服できれば、2013年の田中(当時楽天)、
2014年の金子(オリックス)のように満場一致での選出に近づくでしょう。