ざっくりした事案は,以下のとおり。

 

 

 

Xは,Yから仕入れた商品を販売する事業

XとYは50年以来の取引関係

Xの事業はYに依存

 

Y「新しい商品も仕入れて欲しい。Aに売れば大丈夫。」とXを勧誘

 

その後,A破産

XはAから回収不能

 

 

XがYに損害賠償

 

 

YはXに商品の代金を支払う契約上の義務はないので,使う条文は,709条の不法行為に基づく損害賠償請求。債務不履行よりハードルは高い。

 

商流間の発注量や,購入金額,転売金額はYが決めて,商品はYからAに直送。Xからすれば,関与を断ってYから既存の取引を切られると事業が成り立たないので,断れない。また,YはAの信用不安を知っていたのに隠していたこと,Aが支払いを遅滞した後もそのまま取引を続けたことから,Yの説明義務違反を認定。

 

Yの側としては,断れない立場の取引先を巻き込むときは,注意が必要。Aの債務不履行の責任を負わされてしまう場合がある。

 

 

Xの側としては,一社依存自体がリスク。危なそうだと分かっていても断れないし,事後的に裁判で勝ってもYとの関係は修復不能。

 

 

以上