ざっくりした事案は、以下のとおり。

 

 

元請が工事を受注

元請→下請 くい打ち工事を依頼

下請→孫請 くい打ち工事の現場管理を依頼

 

建物完成

3カ月後、建物傾いたので元請が是正工事

元請から、下請と孫請に損害賠償請求

 

 

下請に対しては、瑕疵担保責任に基づく損害賠償を請求が出来るけど、孫請に対しては契約関係がないので、不法行為で請求するしかない。

 

 

不法行為は瑕疵担保よりもハードルが高い。

工事に不備があるだけでなく、孫請けに注意義務違反があること、その違反によって損害が発生したという因果関係まで立証する必要がある。

 

本件のくい打ち工事不備については、

「最も重要かつ基本的な性状」に問題があったと認定し、施工方法の指標等が詳細に取り決めされていたことから、注意義務違反を認定している。逆に、詳細な取り決めがないのであれば、孫請けへの請求は困難といえる。

 

下請との関係では、元請けの指示基づいてくい打ちをしたから免責されるとの主張がされている。

くいの長さが示された図面が交付されていたみたい。

下請けからよく出される主張だけど、免責されるほどの「指示」とは、注文者の希望では足りず、下請けに対して拘束性を持つほど強いものでないといけない。

 

 

注文者の指示や希望は、現場で急に出ることも多い。

 

 

期日に追われる現場で、元請けとの関係も意識しながら調整するのは大変だと思うけど、下請けとしては、注文者の希望、要望があっても簡単に免責されるものではないという意識を現場レベルで共有しておくことが大事。