「この契約書は,こことここに問題がありますよ。ここはかくかくしかじかという風に記載したらいいですね。あと,こっちは,,,」

「わかりました。ありがとうございます。」

「あ,,,ちょっと待って,,,」

「いやいや,先生,もうパーフェクトですわ」

 

すくっと立ち上がり,相談室を爽やかな顔で出ていかれる。

数日後,電話がかかってきた。

 

「あの,前に教えてくれた契約書の書き方を,もう一度,ゆうてくれまへんか。忘れてしまいましたわ。」

 

教訓:メモはとろう。

 

 

「わし,こう見えても,ただの者とはちゃうんやで,強制執行も楽勝やで。まあ,先生らよりもわしの方が数段上でんな。」

強制執行は非常に難しい。わずかな言葉の違いや計算違いは許されない。それを楽勝とは,この男,デキる。

「いや,私らにとっても,難しいですよ。楽勝と言えるなんてすごいですよ。それ。」

「いやあ,なんてことあらしまへん。裁判所から役人がきまっしゃろ。それで,ドアをノックしたり,ピンポン鳴らされても,家からでていかへなんだら,あきらめて帰りますわ。」

 

教訓:話は最後まで聞こう。

 

 

「こうでんねん。向こうのオカンがバーっときて,ウワーってなりますねん。うちらも,カァ-って,ボケーってなりますやん。そしたら,もうバーンですわ。そういうことなんですわ。」

 

だいたい,分かった。

 

教訓:擬音語でも関西弁なら意外と伝わる。

 

 

「つまり,こういうわけですね。ご友人が逮捕されて,今●●警察署にいる。」

「はい,そうなんです。」

「すぐに弁護人をつけるべきですよ。」

「はい,わかっています。実は,私が知りたいのは,仮に先生が逮捕されたら,誰に弁護を頼むかということです。」

 

教訓:最良の専門家を探すために,手段を選んではいけない。