数年前に事業資金としてお金を貸した。契約書とまでは言えないぐらいの簡単な覚書のようなものを作成した。
1ページしかない覚書。
借金を認めることと,毎月の弁済する額の記載がある。
これを根拠に請求したいので裁判をしてほしい,との相談。
チェックすると消滅時効が完成していた。
民事は10年,商事は5年と言われているけど,1年,2年,3年の場合もある。途中で覚書を作り直した場合は,その作り方によっても期間は変わる。
何よりも消滅時効がいつスタートするかの問題があって,その点だけでも判例がいくつかある。民法改正で期間が一律になっても,この点の判断はケースバイケースになる。
自分では「こーゆーつもりで作った!」としても,それが文書に反映されていない場合がある。雛形がすぐ手に入るからこそ,時々ある。
そして,相手方は,裁判になれば有利なことは全部主張してくる。数年前だと契約書以外のメール等も残っていない。
結果として,「こーゆーつもりで作った!」とは,違った事実が認定される。
1枚ものだし簡単なものだから自分達で作成したとのこと。
しかし,ページ数と内容の難度は別物。
形式面や,必要的記載事項のチェックだけではない。クライアントがどーゆーつもりで契約書を作ったのか,それは契約書の内容と合致しているか,つまりクライアントが勘違いしていないかのチェックも重要。
後から,「こーゆーつもりで作ったのに!」を,防ぐために。
(事案に若干の変更を加えたうえでクライアントの了承を得て掲載しています。)