大手法律事務所である弁護士法人アディーレ法律事務所が,10月11日,2か月間の業務停止の懲戒処分を受けました。
この処分は, ニュースでもよく取り上げられたためでしょうか。様々な方から,質問を受けました。弁護士にとっては,当たり前だと思う事ですが,簡単にFAQをまとめてみました。
Q そもそも何故懲戒処分されたの?
A 過払い金返還請求の着手金を今だけ(1カ月間)無料にするという広告を5年
間近くにわたり掲載したことが,景品表示法第5条2号に定められた有利誤認
の禁止に違反するというものです。
Q 懲戒とはなんですか?
A 弁護士(弁護士法人も含みます)が,弁護士法や所属弁護士会,日弁連の会則
に違反したり,所属弁護士会の秩序,信用を害したり,その他職務の内外を問
わず「品位を失うべき非行」があったときに,懲戒を受けます(弁護士法第
56条)。
懲戒には以下の種類があります。
⑴ 戒告
⑵ 2年以内の業務停止
⑶ 退会命令
⑷ 除名
弁護士業務をしようとすると,必ずどこかの弁護士会に入会する必要がありま
す。退会命令や除名処分が出た弁護士は,通常,どこの弁護士会も入会を認めま
せん。⑶と⑷は,まさに弁護士業の廃業に直結します。
今回は,⑵の業務停止というわけですね。
Q では,業務停止は軽い処分なのですか?
A いいえ,厳しい処分です。まず,処分を受けた段階で受任している事件の全て
を辞任しなければなりません。業務停止の期間内に新しい案件を受任すること
はできません。契約している顧問契約も解除する必要があります。
弁護士の収入は,主に事件を受任する際の着手金と事件終了時の報酬,それから
法人などからの顧問料収入です。したがって,業務停止は,収入がなくなること
を意味します。また,ホームページも削除せねばならず,懲戒を受けた弁護士及
び弁護士法人の名刺で営業することもできません。やや乱暴な表現ですが,業務
停止は,法律事務所の経営基盤そのものを失うこと意味します。
Q では,今現在アディーレに事件を依頼している人はどうなるのですか?
A アディーレに依頼している事件は,アディーレがそのまま続けることはできま
せん。自分で事件の処理をするか,新しい弁護士に依頼するしかありません。
Q 知人がアディーレに事件を依頼していますが,どうしたら良いでしょうか?
A 各地の弁護士会が相談窓口を設けているようです。まずは,そちらに相談され
るよう勧めてはどうでしょうか?参考までに,東京弁護士会と大阪弁護士会の
相談窓口電話番号を掲載します。
東京弁護士会 相談窓口 03-6252-1007
大阪弁護士会 相談窓口 06-6364-1253
Q 阪神総合法律事務所では,今回の問題に対応しないのですか?
A 弊所の顧問契約を締結されている法人からのご紹介であれば,法人様の顧問契
約の範囲内で対応させていただきます。