取引先が建築代金を払ってくれない,建築工事に不備があるから支払わないと言われているが,不備はないので代金を回収したいという相談。

 

 

 

 建築業でよく問題になるのは,注文どおりの建物が完成したのかどうか。その注文が不明確なまま工事がはじまり,工事が終了してから争いになる。

 

 

追加の工事になると,追加の書面もなく,追加の代金も決まらないまま現場同士のやり取りで決めてしまい,あとあと追加注文があったかどうか,その追加の範囲まで争いになる。そして,「工事に不備があるから払わない」は,決まり文句。

 

 

業種ごとの慣習があるし,ある程度,現場の判断で進めることも大事。でも,今回の事案は,当方,相手方ともに,現場同士のやりとりが相当リスキーだった事案。

 

結局,1年半裁判をして解決。裁判所の勧告があり,勝訴的和解。

でも,どちらかが,弁護士にその場で電話していれば,工事をいったん止めて,裁判にまでならなかっただろうと思う。工期が何日か遅れたとしても,工事は止めるべき事案だったから。

また,早い段階で証拠を固めるようにアドバイスができるので,証拠がないから負けてしまうという事態を防げることも早めに相談するメリットになる。

 

(事案に若干の変更を加えたうえでクライアントの了承を得て掲載しています。)